この記事では、「励行」と「敢行」の違いを分かりやすく説明していきます。
よく似た漢字を区別しましょう。
「励行」とは?
励行(れいこう)とは、努力すること。
決まったルールを破らないように、一生懸命はげむ様子をいいます。
規則を守ること、道から外れないように努力することが励行です。
そもそも励行の「励」には「力を振り絞っておこなう」という男気あふれる意味があります。
そして「行」は「済ませる」こと。
そのため惰性に流されずに、きちんと規則にしたがう様子を励行といいます。
「うがい手洗いの励行」や「資格取得の励行」のように、おもに上の立場の人が下の人に指示する状況でつかいます。
ちなみに「率先励行(そっせんれいこう)」とは、トップに立って模範をしめす四字熟語です。
「敢行」とは?
敢行(かんこう)とは、無理を知りながらおこなうこと。
向かい風があるのに、勇み足で突破することです。
無理強いして進めること、強気でおこなうことが敢行です。
敢行の「敢」には「遠慮しないでおこなう」という訳があります。
そして「行」は「決断する」こと。
つまり悪天候だと分かっていながら、自分のやりたいようにやるのが敢行です。
周りの状況はひとまず置いて、我が道をすすむというニュアンスが敢行になります。
決して恵まれている条件ではないのに、無理を承知でおこなうことをあらわします。
「励行」と「敢行」の違い
どちらも「行」という漢字が含まれているので、見分けを付けにくいです。
「励行」と「敢行」の違いを、分かりやすく解説します。
・守る「励行」守らない「敢行」
「励行」と「敢行」は、見た目はとても良く似ています。
そのため、とても間違えやすいです。
整理するとルールや掟を守ることが励行です。
例として「感染防止のため、換気を励行してください」や「アルコール消毒の励行をお願いします」のように使います。
守るべき規則にしたがって、人としてあるべき行為をおこなうのが励行です。
対する敢行は、周囲の意向はお構いなしに、自分の主張を押し通すこと。
やりたいと思ったら、周りが反対していても押し切るさまをあらわします。
「参加者は少なそうだが、イベントを敢行した」や「荒れ模様の海だったが、漁を敢行した」のように用いていきます。
自分にとって追い風の展開ではないと分かっていても、思いきって実施するのが敢行です。
励行は世間のルールに従うことですが、敢行は自分の意思を優先することになります。
どちらも「おこなう」さまを表現した言葉ですが、大きな違いがあります。
まとめ
「励行」と「敢行」の違いを分かりやすくお伝えしました。
励行とは定められたルールに従うこと。
指示を守ることをいいます。
そして敢行とは、力ずくでおこなうこと。
悪い条件があると知りながら、自分の気持ちを優先させて実施することです。
励行と敢行はとてもよく似ていますが、蓋を開けてみると大きな差があります。