この記事では、「対象」と「対照」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「対象」と「対照」の違い
明確な違いがあると言える「対象」と「対照」。
行為の目標となるもの。
めあてを意味する「対象」。
それに対し「対照」は二つの事や物を照らし合して比べることを意味し、二つのものが正反対であることを意味しています。
そのため、まったく同じ読み方となる「たいしょう」でも両者には明確な意味の違いがある言葉ということになります。
そこで、ここでは、使い分けが難しいことも多い「対象」と「対照」の違いについて、使い方などを例により詳しく説明させて頂きます。
「対象」と「対照」の使い方の違い
「対象」が目的や目当てに対する使い方に対し、照らし合わせるや比べることに対し用いる「対照」。
そのため、使い方も異なります。
「対象」の場合、「子供を対象とする」や「恋愛対象」など「対象」の前に目的が付け加えられることが多くなることに対し、「対照」の場合は、何かと照らし合わせ比べるといった意味から「比較対象」や「対照的」といった使い方が多くなります。
「対象」と「対照」の英語表記の違い
「対象」の英語表記は、subject; object; targetです。
「高校生を対象とする辞書」は、a dictionary (intended) for [aimed at] high‐school studentsとなります。
「対照」の英語表記は、antithesis; contrastです。
「対照する」は、contrast [compare] 《A with B》、make a comparison 《between A and B》、set [put] 《A》 against 《B》、【形式ばった表現】 collate 《A with B》。
「対照実験」は、【生物】 a control experimentとなります。
「対象」の意味
行為の目標やめあてといった意味を持つ「対象」。
「対象」の「象」には、形や様子といった意味があり、そこから、目標となる形や様子といった意味となっています。
「対象」の使い方
「対象」には多くの使い方があり、目にすること、使用することも非常に多い言葉となります。
例えば、「何かの対象となる・対象とする」といった使い方をはじめ、何かの「対象外」、「対象年齢」、「対象商品」、「割引対象商品」、「調査対象」など、どんな目的なのか、何が目的なのか、誰が目的なのかを明確に示すことができる使い方が多くなります。
「対象」を使った例文
・『彼は残念ながら、私の恋愛対象ではありません。』
・『批判の対象になることを覚悟したうえで、発言する。』
・『学生を対象としたアンケート調査を行う。』
・『節約するため、割引対象商品を積極的に購入する。』
「対象」の類語
「対象」の類語には、認識あるいは感情の焦点を意味する客体があります。
そのほか、観察・認識などの精神活動の対象となるものを意味する客観や目標とするもの。
目印を意味する目当ても「対象」の類語と言えます。
「対象」の対義語
「対象」の対義語には、自覚や意志に基づいて行動したり作用を他に及ぼしたりするものを意味する主体があります。
「対照」の意味
二つの事、物を照らし合わせて比べること、二つのものの違いが際立っていることといった意味を持つ「対照」。
「対照」の「照」には、見比べる、照らし合わせるといった意味があります。
そこから、二つの事や物を照らし合わせ見比べるといった意味となります。
「対照」の使い方
見比べる、照らし合わせるといった意味を持つ「対照」には、以下のような使い方があります。
「比較対照」や「対照的な性格」。
「対照語」など、互いの違いが際立っているといった意味を持つ「好対照」などがあります。
「対照」を使った例文
・『学校内でも対照的な性格を持つ2人ですが、非常に仲良しです。』
・『あの絵は、色彩の対照がすばらしいと私は思う。』
・『私と彼女は対照的な性格だが、なぜか、一番気が合う友人です。』
・『実験の結果、際立った対照が見受けられた。』
「対照」の類語
「対照」の類語には、二つのものを並べ合わせて、違いやそれぞれの特性を比べることといった意味を持つ「対比」。
二つ以上のものを互いにくらべ合わせることといった意味を持つ「比較」などがあります。
「対照」の対義語
「対照」の対義語には、ぴったり合うこと。
一致することといった意味を持つ「合致」。
二つ以上のものがぴったり一つになること。
くいちがいなく同じであることといった意味を持つ「一致」。
ある条件や事情にぴったり当てはまることといった意味を持つ「適合」などがあります。
まとめ
目的や目標となる意味を持つ「対象」。
見比べる、照らし合わせるといった意味を持つ「対照」。
同じ読み方となる「たいしょう」でも、「象」という漢字を用いるのか、「照」といった漢字を用いるのかによって、大きな違いがある「対象」と「対照」となります。