「詐取」と「横領」と「搾取」の違いとは?意味や違いを分かりやすく解釈

「詐取」と「横領」と「搾取」の違いとは?生活・教育

この記事では、「詐取」「横領」「搾取」の違いを分かりやすく説明していきます。

「詐取」とは?

「詐取」【さしゅ】とは、不正をして他人の金品をだまし取ることです。

使われている漢字の意味を見てみると「詐」は嘘をつくこと、だますことを表し、「取」は自分の持ち物にすることを表しています。

このことから「搾取」は、人をあざむき物をだまし取る行為を示していることがうかがえます。

「詐取」は主に金品を奪い取ることを意味しますが、近年増えている「フィッシング」など個人情報を盗み取ることも「詐取」に該当します。

類語には、だまし取ることを意味する「騙取」【へんしゅ】や他人をだまして損害を与えることを表す「詐欺」【さぎ】などがあります。


「詐取」の例文

・『わざと事故にあって保険金を詐取した男が逮捕された』
・『金を詐取する目的で、偽のもうけ話を持ち掛ける』


「横領」とは?

「横領」【おうりょう】は、自分の所有物ではないものを自分のものにする不正行為です。

漢字の「横」には欲しいままという意味、「領」には自分のものにするという意味があり、これらを組み合わせた「横領」は、私欲を満たすために取ってはいけない物を自分のものにする様子を表しています。

「横領」は、人目をごまかして他人の財産や公共物などを自分の所有物にしてしまう行為です。

具体的には他人のお金をこっそり使い込む、会社の帳簿をごまかして売上を自分の口座へ振り込む、といった手口が挙げられます。

もちろん、れっきとした犯罪行為であり、法律上では「横領罪」に問われます。

類語には、使ってはいけないお金に手を出すことを意味する「着服」【ちゃくふく】や「使い込み」があります。

「横領」の例文

・『事務員が1億円を横領していることが発覚した』

「搾取」とは

「搾取」【さくしゅ】とは、汁などを手でしぼり取ることです。

また、雇用主が労働者を必要以上に働かせて利益を巻き上げることを表します。

「搾取」は読んだ通り「搾り取る」【しぼりとる】という意味を持ちます。

漢字の「搾」は押し出して中味を出すこと、「取」は自分のものにすることを意味します。

「搾る」には無理やり圧力を加えて中身を取り出すというニュアンスがあり、「搾取」は汁をしぼることを指すほか、無理やりものを取り立てることも表します。

一般には果物や野菜の汁、牛の乳など物理的に汁をしぼる行為を意味しますが、雇用者が労働時間に見合わない厳しい条件で従業員を働かせ、利益を自分のものにする様子も指します。

類語は「吸い上げる」「搾り上げる」などがあります。

どちらも「搾取」と同様に利益を搾り取ることを表し、「搾り上げる」は他人の利益を取れるだけ巻き上げるあくどい様子を指しています。

「搾取」の例文

・『毎朝、牛の乳を手で搾取する』
・『あの会社は、社員の労働力を搾取するブラック企業らしいよ』

「詐取」と「横領」と「搾取」の違い

「詐取」「横領」「搾取」はいずれも他人の金品を自分のものにすることを表しますが、それぞれの意味は異なります。

「詐取」は、不正をして金品をだまし取ることです。

「横領」も他人の金品をだまし取ることですが、自分が管理している他人や公共の所有物に手を付ける行為という特徴があります。

「搾取」はしぼり取る、利益を取り立てることであり、「詐取」「横領」と違って「だまし取る」というニュアンスは含みません。

まとめ

「詐取」「横領」「搾取」はいずれも他人の損害を与える不正な行為です。

「詐取」「搾取」は読み方が似ていますが、意味は異なるので混同しないように注意しましょう。