「畏敬」と「尊敬」はどちらも「敬う」という意味が含まれた言葉ですが、細かな意味合いが異なるため使い分ける必要があります。
この記事では、「畏敬」と「尊敬」の違いを分かりやすく説明していきます。
「畏敬」とは?
「畏敬」は「いけい」と読む言葉で、「崇高と感じる物事や偉大な人などに対しておそれ敬うこと」を示します。
「畏敬」の「畏」には「敬服する」や「おそれる」、「かしこまる」といった意味があり、「敬」には「敬い慎む」という意味があります。
「尊敬」とは?
「尊敬」は「そんけい」と読む言葉で、「特定の人について、その人の人格や考え、振る舞いなどを尊いものと認識して敬うこと」を示します。
「尊敬」の「尊」には「大切にする」、「価値や身分などが高い」などの意味があり、「敬」は上記と同じく「敬い慎む」という意味があります。
「畏敬」と「尊敬」の違い
「畏敬」と「尊敬」は双方とも何かを「敬う」や「尊ぶ」という意味を持つ言葉ですが、詳細な意味合いや使用する対象に違いがあります。
「畏敬」は「おそれる」を示す「畏」が使われているように、「敬う」ことに加えて「おそれる」または「ひれ伏す」ような気持ちが含まれており、「人だけでなく神仏や自然など」にも用いられます。
一方、「尊敬」には「おそれる」といった意味合いはほとんどなく、「敬う」や「敬愛する」といった気持ちを表し、基本的には「人」に対して使用されます。
「畏敬」の例文
「畏敬」は「人や神仏、自然などに対しておそれ敬う」という意味があり、「おそれ敬う気持ち」を意味する「畏敬の念」という言い回しで使用されるのが一般的で、動詞としては使用しないのが特徴です。
・『異常気象が起こるたびに、自然の力に対して畏敬の念を抱く』
・『戦前・戦中・戦後をたくましく生き抜いてきたお年寄りに畏敬の念を抱いている』
・『紀元前400年代に建設されたパルテノン神殿を目にすると、思わず畏敬の念を抱かずにいられないだろう』
・『その神社には神秘的な空気が漂っていたので畏敬の念を抱いて参拝した』
「尊敬」の例文
「尊敬」は「特定の人の人格や考え、振る舞いや実績などを尊いものと認識して敬う」際に使用される言葉で、「畏敬」とは異なり「尊敬する」と動詞的に使用することが可能です。
また、「敬う気持ち」を意味する表現として「尊敬の念」という言い回しも使われています。
・『A教授は授業が分かりやすいだけでなく、人格者なので多くの人に尊敬されている』
・『尊敬する先輩の業績が認められ、社内で表彰されることになった』
・『物事を最後まで諦めずに達成する彼の粘り強さに尊敬の念を抱いている』
・『定年退職する上司に対して、お世話になったお礼と尊敬の念を込めて手紙をしたためた』
まとめ
「畏敬」と「尊敬」は似た意味を持ちますが、「おそれる気持ち」が含まれるかどうかが両者の違いのキーポイントになります。
ぜひ参考にして二つの言葉の正しい意味や使い方を学び、状況に応じて使い分けてください。