この記事では、「違憲審査権」と「違憲立法審査権」の違いを分かりやすく説明していきます。
「違憲審査権」とは?
「違憲審査権」とは、「違憲立法審査権を略した言葉」です。
違憲立法審査権を制度化したものが「違憲審査制度」です。
その制度名にちなんで「違憲審査権」と呼ばれることも多くなっています。
「違憲審査権」を狭義に解釈して違憲立法審査権との差異をあえて強調する場合もあります。
その場合は、「ある事件に用いる法律・法令」だけではなくて「地方自治体や公的機関による行政・命令・処分・規則が憲法に違反していないか審査して違反していれば無効にできる司法の権限」が「違憲審査権」になります。
「違憲審査権」は憲法81条に定められた裁判所の権限です。
法律や命令などが憲法に従っているかどうかを決められる終審裁判所は「最高裁判所」とされています。
「違憲審査権」は「法令審査権」ともいいます。
「違憲立法審査権」とは?
「違憲立法審査権」とは、「ある訴訟事件に使う法律について、それが憲法規定に違反していないかを審査する司法の権限」を示しています。
日本国では憲法81条で規定されています。
「違憲立法審査権」の通説は、「具体的な個別の訴訟事件で判決の根拠となる法律・法令」に対して憲法に反していないかを審査する権限になります。
ただし少数説として、「具体的な事件がなくても、特定の法律について抽象的レベルで違憲審査できるの説」もあります。
「違憲立法審査権」を行使してその法律が違憲と判断された場合は、その法律は一時的に強制力を失います。
「違憲立法審査権」というのは「最高法規である憲法の実質」を守るための司法の権限です。
「憲法より下位の法律によって憲法が無効化されるリスク」を無くすものとして理解することができます。
「違憲審査権」と「違憲立法審査権」の違い
「違憲審査権」と「違憲立法審査権」の違いを、分かりやすく解説します。
「違憲審査権」と「違憲立法審査権」はどちらも、「違憲審査制度で認められている裁判所の権限」を意味しています。
一般的に、ある事件に対する法律が憲法に沿っているかを審査して無効化できる権限は「違憲立法審査権」と呼ばれています。
それを略した用語が、「違憲審査権」になりますそのため、実質的な意味の違いはないと言えます。
「立法」という言葉の意味を重視して、「違憲立法審査権」で憲法に適合しているか否かを判断する対象は「法律・法令」だけとする解釈もあります。
その場合は、「違憲審査権」のほうは「法律以外の公的機関による一切の処分・命令・規則・条例・判例を含む」といった違いを挙げることができるでしょう。
これらは憲法81条で列挙されている審査対象でもあります。
しかし一般的には、「違憲審査権」と「違憲立法審査権」は同じ意味を持つ同義語として考えることができます。
まとめ
「違憲審査権」と「違憲立法審査権」の違いについて説明しましたがいかがでしたか?
「違憲審査権」と「違憲立法審査権」の違いを詳しく知りたい場合は、この記事の解説をチェックしてみてください。