この記事では、「加齢」と「老化」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「加齢」と「老化」の違い
「加齢」とは、歳をとることです。
「老化」とは、肉体的・精神的な機能が衰えることです。
「加齢」=「老化」と考えてしまいがちです。
たしかに、歳をとると肉体的にも精神的にも機能が衰えてきます。
10代や20代のころは階段を駆け上がっても平気だったのに、40代、50代になると階段を駆け上がると息がハーハーしてしまう、駆け上がることができないといったことがあります。
しかし、歳をとってもハツラツと過ごしている人もいます。
「加齢」と「老化」の意味は違うのです。
誕生日を迎えると1つ歳をとります。
これが「加齢」です。
「老化」は肉体的・精神的な機能が衰えることで、たとえば老眼で近くのものが見えにくい、肌のシミが増えるといったものがそうです。
歳をとっても老眼が気にならない人もいるし、肌のシミがほとんどない人もいます。
「加齢」と「老化」は同じことを指しているのではありません。
「加齢」と「老化」の使い方の違い
年齢が増えることを指して「加齢」を使用します。
肉体的な機能、精神的な機能が衰えることを指して「老化」を使用します。
「加齢」と「老化」の英語表記の違い
「加齢」は英語で“aging”や“advancing age”と表現をします。
「老化」は英語で“aging”と表現をします。
「加齢」の意味
「加齢」とは、誕生日を迎えて年齢が増えることです。
「加」という漢字には、加える、多くなるという意味があり、「齢」という漢字には、よわい、としという意味があります。
今40歳です。
3月1日の誕生日で41歳になります。
3月1日の誕生日を迎えると1つ年齢が増えて、このことを「加齢」といいます。
年齢が増えると、体力の衰えを感じたり、肌のシワが増えたり、若いころに比べてやる気がでなかったりすることが珍しくありません。
しかし、「加齢」には、体力が衰える、肌のシワが増えるなどの意味は含まれていません。
こういった体に現れる変化は、「加齢による体の変化」などといいます。
「加齢」の使い方
年齢が増えることを指して使用します。
人間は誰でも誕生日を迎えると年齢が1つ増えるので、誰でも「加齢」をします。
時間の流れを止めることはできないため、「加齢」を止めることもできません。
「加齢」を使った例文
・『加齢によって体力が落ちた気がする』
・『10年前の写真と今の写真を見比べると、加齢の影響がよくわかる』
・『加齢による体への影響』
・『加齢とともに視力が衰えた』
「加齢」の類語
「加年」が類語です。
年齢が一つ増えることという意味があります。
「加齢」の対義語
「加える」の対義語が「減る」「引く」などですが、「減年」「引年」とはいわないので、対義語はありません。
「老化」の意味
「老化」とは、年齢を重ねることによって、肉体的・精神的な機能が衰えることです。
若いころは残業を続けてしても平気だったのに、年齢を重ねると残業をすると体がつらく感じるようになってくることがあります。
また、昔は平気で階段を上れたのに、年齢を重ねて階段を上るのがつらい、息が上がってしまうといったこともあります。
これらは肉体的な変化です。
こういったものは自分で感じとることができますが、骨量の減少など自分ではわかりにくい「老化」の影響もあります。
年齢を重ねると記憶力が落ちてくることがあります。
意欲がわかない、怒りやすい、柔軟性がなくなるといった変化もみられます。
これらは精神的な変化です。
「老化」は何歳からはじまるといったものではなく、同じ40歳でも肉体的・精神的な衰えを感じる人もいれば、肉体的にも精神的にも若々しい人もいます。
同窓会で久しぶりに会うと、若々しい人もいれば、老けた印象の人もいて、同じ年齢でも肉体的・精神的な状態が違うことを感じるのではないでしょうか。
「老化」の使い方
年齢を重ねることによる、体や精神の衰えのことを指して使用します。
「老化」のスピードは人によって違います。
何歳からが「老化」の影響という明確な定義はなく、「老化」には何歳からの衰えのことを指しているという意味は含まれていません。
「老化」を使った例文
・『肌の老化を防ぐために紫外線対策をしっかりする』
・『運動を習慣にしているからか、老化による影響を感じさせない肉体』
・『その食生活では老化の影響を加速させる』
・『老化による影響を抑えるのではないかと期待される成分』
「老化」の類語
「衰える」が類語です。
「老化」の対義語
「若返る」が対義語です。
体や心が若くなるという意味があります。
まとめ
2つの言葉はイコールと考えてしまいがちですが、同じことを指しているのではありません。
「加齢」によって「老化」をすることもあれば、元気な人もいます。