最近食欲が無くなってきたと感じた時に、この状況を改まった表現でどういえば良いのと考えます。
思いつくのが「食欲が減退しました」と「食欲が減少しました」です。
この2つの言い方のどちらが正しいのでしょうか。
また、同じような言葉で「衰退」もあるが、どう使いわければ良いのでしょうか。
この記事では、「減退」と「減少」と「衰退」の違いを分かりやすく説明していきます。
「減退」とは?
「減退」とは「減って衰えること」です。
意味を考える上でのポイントは「退」にあります。
「退」とは「後退」「退職」「退避」などに使われていることからわかるように「後ろに下がる」ことです。
「元々たくさんあったものが減って下がってしまった」というニュアンスになるでしょう。
特に食欲や体力のように「十分にあることで保たれたものが保たれなくなる」ものに使われる場合が多い言葉です。
対義語は「増進」です。
英語では「loss」と訳せるかもしれませんが前後の文脈でかなり変わってきます。
「食欲減退」は「loss of appetite」です。
「減少」とは?
「減少」とは文字通り「減って少なくなること」です。
基本的には量や数が大まかにでも計測できるものであればどんなものにでも使用できます。
つまり「10あったものが5に減少する」というように数字で示すことも「いっぱいあったものが半分に減少する」という曖昧な計量を使用した言い方もできます。
対義語は「増大」です。
英語では単純に「decrease」が近いでしょう。
「衰退」とは?
「衰退」の「衰」は「衰える」、「退」は「後ろに下がる」という意味なので、「衰退」は「衰えて元気がなくなる」様を表す言葉です。
対義語は「発展」あるいは「繁栄」です。
「王国の衰退」のように概念的なものに使われます。
英語では「decay」が近いでしょう。
「減退」と「減少」と「衰退」の違い
「減退」「減少」「衰退」ともに何かが「減る」ことを表す言葉であることは同じですが、使用できる対象が違います。
「減退」はその対象を「気力」「体力」「食欲」「意欲」に限定して使用する言葉であり、「衰退」は「業界」「政治」「王国」「文化」などのような規模が大きくて概念的なものを対象にする言葉です。
これら2つに対して「減少」は、量や数が数えられるほぼどんなものにでも使えることが大きな違いです。
例えば、「睡眠時間の減少」という使い方はできますが、「政治の減少」という使い方はできません。
「食欲の減少」に関しても間違いというわけではありませんがほぼ使われません。
やはり食欲は「減退」が一番しっくりきます。
まとめ
この記事では、「減退」と「減少」と「衰退」の違いを説明してきました。
これらは、それぞれ使用できる対象が違うことが重要なのですが、その中で一番対象が広い「減少」を使っておけば間違いないかといえばそうではありません。
前述のように計量できないものには使えないのが普通なので結局は意味をちゃんと考えて使用する必要があるのです。