上流改装を指す言葉として「ジェントリ」と「ブルジョワジー」があります。
このふたつは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「ジェントリ」と「ブルジョワジー」の違いについて解説します。
「ジェントリ」とは?
「ジェントリ」とは、「中世の身分社会における最下層の地主階級」を意味する言葉です。
「ジェントリ」の使い方
「ジェントリ」というのはもともとイギリスに存在した階級のひとつです。
中世のイギリスにおいて人の身分は貴族と平民に分かれていました。
「ジェントリ」というのは貴族階級と平民階級の間に位置する特殊な階級です。
貴族と平民を分ける大きな基準が「土地所有」です。
中世では簡単にいえば土地を所有しているのが貴族、所有が認められていないのが平民とされていましたが「ジェントリ」は正式な貴族階級ではないが土地所有が認められていました。
貴族には土地所有の他に称号や貴族院議員視覚などの特権が与えられていましたが「ジェントリ」にはそれらの特権がありません。
その代わり納税など基本的なものを除く貴族としての義務も免除されており、階層的には貴族に属する者の生活実態としては平民に近いのが「ジェントリ」です。
日本には「ジェントリ」にあたる身分はありませんが人々をとりまとめ苗字帯刀が認められていた「庄屋」や「名主」などが近しい存在です。
「ブルジョワジー」とは?
「ブルジョワジー」とは「裕福な資産をたくわえた資本家階級」を意味する言葉です。
「ブルジョワジー」の使い方
「ブルジョワジー」という言葉はフランス革命時に誕生した言葉です。
フランス革命は市民による貴族に対する革命戦争ですが抵抗勢力としての市民側で中心となった存在が「ブルジョワジー」です。
「ブルジョワジー」は日本語では「有産階級」と訳されます。
平民の中でも豊かな資産を持ち先進的な知識を身に着けているのが「ブルジョワジー」であり企業家や思想家などこれまで貴族階級が独占してきた富や資本を保有している市民を指します。
現代では労働で収入を得るしかない労働者階級に対し「保有している資本が生み出す利潤や利息により収入を得ている階級」を「ブルジョワジー」と呼んでいます。
「ジェントリ」と「ブルジョワジー」の違い
「ジェントリ」と「ブルジョワジー」は市民や平民の中での上流階層を指す言葉ですが「何を所有しているか」に違いがあります。
「ジェントリ」が土地を所有している地主階級を指すのに対し、「ブルジョワジー」は主に金銭を中心とした豊かな資産を所有する人を指すという違いがあります。
土地持ちの支配者が「ジェントリ」、金持ちの資産家が「ブルジョワジー」という違いで区別されます。
「ジェントリ」の例文
・『ジェントリの中には貧しい生活を送っていた者もいる』
・『小作人が生産した作物のうちジェントリの取り分は8割を超えていた』
「ブルジョワジー」の例文
・『市民革命はブルジョワジーの力なしには成立しなかった』
・『働かざるもの食うべからず、というのはブルジョワジーを批判した言葉である』
まとめ
同じ上流階層を指す言葉でも「ジェントリ」と「ブルジョワジー」はまったく別の存在です。
現代ではほとんど廃れていた言葉ですが格差社会批判などの文脈で登場する機会が増えつつあります。
それぞれが何を指しているのか正しい意味を知っておきましょう。