「鉄」と「鋼」の違いとは?分かりやすく解釈

「鉄」と「鋼」の違い専門用語・業界用語

現代人の生活とは切っても切り離せない存在である「鉄」

一方で似たような言葉に「鋼」がありますが、この2つには何か違いや使い分けはあるのでしょうか?

この記事では、「鉄」「鋼」の違いを分かりやすく説明していきます。

「鉄(てつ)」とは?

「鉄」は金属元素のひとつです。

元素記号は「Fe」であり、原子番号は「26」、英語では“iron”(アイアン)となります。

「鉄」と言えば身近な存在に感じますが、私たちが「100%純粋な鉄」を普段目にすることはほとんどありません。

「鉄」と言えば銀色や灰色のモノをイメージする方が多いと思いますが、「100%純粋な鉄」は白い光沢を持っています。

また、「100%純粋な鉄」は酸化しやすい上に脆い性質を持っているため、それのみで加工に利用するのは困難です。

ところが、同時に「鉄」には炭素など他の元素を混ぜて、純度を100%から下げることにより、強度や硬度、靭性、耐熱性など色んな特性を持たせることが可能になる性質があります。

これを「塑性(そせい)」、もしくは「可塑性(かそせい)」と呼びます。

「鉄」はそれ単体で用いられることはほとんどありませんが、高い「可塑性」を活かした加工を施されて今日の生活に利用されています。


「鋼(はがね)」とは?

「鋼」「鉄」に0. 02%から2%程度の「炭素」を混ぜた「合金」(=2種類以上の金属を合わせたもの)であり、英語では“steel”(スチール)となります。

先述したように「鉄」はそれ単体では加工に向きませんが、「炭素」を加えることで強度や硬度を持たせることが可能になります。

実のところ、私たちが身近で目にする「鉄」は、「鉄」ではなく「鋼」のことだったのです。

「鋼」「炭素鋼(たんそこう)」とも呼ばれ、含まれる「炭素」の量が多いほど、「鋼」の強度や硬度も増しますが、「炭素」の量が多すぎると靭性(=粘り強さやしなやかさ)が失われ、簡単に折れるようになってしまいます。

「鋼」は強度や硬度によって細かく種類分けされており、用途によって使い分けをされています。


「鉄」と「鋼」の違い

「鉄」「鋼」の違いを、分かりやすく解説します。

「鉄」は元素記号「Fe」にあたる金属元素のことを指します。

「鉄」そのものはデリケートな物質であるため、単体で加工に用いられることはほとんどありません。

しかし、「鉄」には「可塑性」と呼ばれる性質があり、「炭素」など他の元素を混ぜることによって強度や硬度を持たせることが可能となります。

その「可塑性」を利用して、加工しやすいように「鉄」「炭素」を0. 02%から2%程度混ぜた合金が「鋼」になります。

まとめ

「鉄」とは金属元素のひとつ。

「鋼」とは「鉄」に0. 02%から2%程度の「炭素」を混ぜた合金のこと。

私たちの身近にある「鉄」や、私たちが「鉄」と言われてイメージするモノは実のところ「鉄」ではなく「鋼」だったのです。