この記事では、「硝酸イオン」と「硝酸」の違いを分かりやすく説明していきます。
「硝酸イオン」とは?
「硝酸イオン」とは、「化学式NO3-で表される負電荷を帯びた分子イオン」のことです。
硝酸の共役塩基である「硝酸イオン」の分子量は「62. 00」です。
このイオンの化学構造は、1個の窒素原子と3個の酸素原子が平面的な三角形をつくっている構造になります。
この「硝酸イオン」が結合している塩類をまとめて「硝酸塩」と呼んでいるのです。
硝酸(硝酸塩)を水に溶かした水溶液にすると水素と硝酸イオン(NO3-)に分離しますが、この「硝酸イオン」は「植物・細菌が活用する主要な窒素摂取源」になっています。
「イオン」とは電気的に中性な原子が電子を失ったり取り込んだりして生まれる「電荷を帯びた原子」を意味しています。
化学物質(電解質)を水溶液にしたり通電したりすることでイオンが生成されやすくなります。
「硝酸イオン」は負電荷を帯びている「陰イオン(アニオン)」になります。
「硝酸」とは?
「硝酸」とは、「化学式HNO3で表される化合物・水溶液」のことです。
「硝酸」は無色の液体のかたちが多く、融点はマイナス42度、沸点は86度です。
融点が低く「吸湿性・発煙性」の特徴を持っています。
「硝酸」は強い酸性であり、金・白金・イリジウム以外の金属をよく溶かす性質があります。
強い酸化剤なので硫黄を反応して「硫酸」をつくり、リンと反応して「リン酸」をつくることもできます。
「硝酸」は有機物をニトロ化して爆発させるので、ニトログリセリン・TNTなどの爆薬にも使われます。
一般的には農業の「肥料」や「メッキの材料」としてよく使われます。
現代の「硝酸」の主な生産方法は、「アンモニアを用いた接触酸化」になっています。
「硝酸」は劇薬であるため、人体の粘膜(口腔・喉・皮膚・肺・胃腸など)が触れると激しく損傷されるので取り扱いには注意が必要です。
「硝酸イオン」と「硝酸」の違い
「硝酸イオン」と「硝酸」の違いを、分かりやすく解説します。
「硝酸イオン」を持つ塩類が「硝酸(硝酸塩)」になるという定義が前提としてあります。
「硝酸(HNO3)」を水溶液にして電解すると、「H+」の陽イオン(カチオン)と「NO3-」の陰イオン(アニオン)に分かれますが、この陰イオンが「硝酸イオン」であるという関係になります。
そのため、「硝酸イオン」というのは「硝酸」そのものではなく、硝酸をイオン分解した時に生じる「硝酸の構成要素」であるという点が大きな違いになります。
「硝酸」そのものは「イオン」ではないので電荷を帯びておらず、他の電荷と結びつこうとしていません。
一方、「硝酸イオン」のほうは「電子を取り込んで負電荷を帯びるようになった陰イオン」であり、陽イオン(カチオン)と結びつこうとする性質を持っているという違いを指摘することができます。
まとめ
「硝酸イオン」と「硝酸」の違いについて説明しましたがいかがでしたか?「硝酸イオン」と「硝酸」の違いを詳しく調べたい場合は、この記事の解説をチェックしてみてください。