しいたけを購入しようと思った時にまず目につくのが原木と菌床の二種類の区分だと言っていいでしょう。
値段の違いも如実、前者の場合は栽培されていた状態のまま送られてきて驚いた経験のある方も多いはずです。
この記事では、「原木しいたけ」と「菌床しいたけ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「原木しいたけ」とは?
厳密にはそのなかにも2つの種類があると言って考えていいでしょう。
1つは自生によって繁殖したものを指します。
もう1つは自然に近い状態で栽培されたものになり、育成に適したミズナラ、コナラ等にしいたけ菌を接種。
基本的には1年以上をかけほだ木を熟成させたあとから、しいたけを発生させ4~5年かけて収穫します。
原木の種類や栽培条件によって発生、収穫可能期間は前後しますが根底部分は変わりません。
「菌床しいたけ」とは?
いわゆる菌床と言われる場所を人工的に設置し、そこにしいたけの種コマをうちます。
その後種コマの育成に適した環境を人間の手によって与え、養分をも人工的に投与することにより短期間で収穫可能です。
収穫サイクルに加え、屋内で場所を取らずに栽培できるため、大量生産も可能。
しいたけに限らずキノコ類の栽培方法の主流だと言っていいでしょう。
「原木しいたけ」と「菌床しいたけ」の違い
端的にこの2つの言葉を栽培方法に言い換えて表すとすれば、前者は自然栽培、後者は人工栽培だと言っていいでしょう。
もちろん「原木しいたけ」でも人間の手により栽培条件がある程度整えられているのは間違いありません。
しかししいたけ自体の発生条件に関して、前者はほぼ自然の条件に委ねていました。
後者は明確な計画により発生から収穫までが管理されているのが大きな違いとなります。
「原木しいたけ」の長所と短所
・『原木しいたけの歴史』
「原木しいたけ」の歴史は古く、既に1930年代にはこの栽培方法が確立されています。
環境はある程度人間によって整えられるも栄養分に関しては完全に自然のめぐみを受けて育ちます。
・『原木しいたけの味』
無農薬で太陽の天然光を存分に受けて育ったしいたけは肉厚かつ風味に優れていると言われています。
そして傘の色も力強い濃褐色なのが特徴です。
・『原木しいたけの短所』
当然ながら大量生産することは出来ないため、価格では雲泥の差を生み出します。
また全て乾燥させられて出荷されるために利用する際には戻す必要が生じます。
「菌床しいたけ」の長所と短所
・『生しいたけの普及に大きく貢献』
いわゆる生しいたけの8割を占めるのが菌床を利用して栽培されたものです。
1970年代の原木不足から各生産地での奨励が進み、その後キノコ販売大手会社の参入、美食ブームにより「菌床しいたけ」の需要は拡大していきました。
・『菌床しいたけの実力』
大手企業の参入により、高級品のどんこに関しても菌床しいたけは参入。
まだ生産量の2割程度ではありますが、品質の向上によりそのシェアは伸びつつあります。
企業努力もありますが、価格は平成元年からの30年維持され、日本人の食卓を支えてきました。
まとめ
「原木しいたけ」はその歴史自体が古く、太古の古文書にも残る自然を利用した天然栽培によって収穫されたものです。
「菌床しいたけ」は比較的歴史が浅く普及したのはここ40年程度のこと。
いわゆる人工栽培ですが、安全に大量生産できるうえに生しいたけの普及に大きく役割を果たしました。