この記事では、「充実」と「充足」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「充実」と「充足」の違い
「充実」も「充足」も、意味はとてもよく似ています。
両方とも「満ち足りている」という意味の語です。
しかし、この二つの持つ言葉の意味には多少の違いがあります。
「充実」は「満ち足りている」という意味の他に、「中身が豊かで十分だ」という意味を持ちます。
「豊かである」という「思い」があるときに用いられる傾向があります。
これに対し「充足」は「充実」よりも客観的に用いられる場合が多いです。
「数が足りている」「必要な数が揃っている」というときに「充足」という言葉が用いられます。
「充実」と「充足」の使い方の違い
「充実感」「充足感」といったふうに、後ろに「感」を付けてこの二つの語を使った場合は、意味はほとんど同じになります。
二つとも、「満ち足りた気持ち」を表す語です。
しかし、「充実」と「充足」とそれぞれ用いた場合、言葉のもつニュアンスは異なってきます。
「充実」は「感」を付けなくても、主観を感じられる語です。
「充実した生活を送った」と用いた場合は、「生活が豊かだった」「満足した生活を送った」という意味になります。
これに対し「充足」は、「数が足りる」という意味で用いられます。
「必要な数を揃える」という意味で用いられることの多い語です。
「充実」と「充足」の英語表記の違い
「充実」の英語表記は“fullness”です。
「充足」を英語で表すと“satisfaction”です。
「充実」の意味
「充実」とは「十分に備わっている」という意味です。
必要なものが十分にあるとき、「充実」という語が使われます。
また、「中身が十分に満ちている」「中身が豊かで十分だ」というときも「充実」という言葉が使われます。
「充実」の使い方
「十分に備わっている」という意味で「充実」という語を用いるときは、「その店の在庫は充実している」などのように使います。
これは、「在庫が十分にある」という意味です。
「中身が豊かで十分だ」という意味で「充実」を用いるときは、「充実した経験をさせてもらった」といったふうに使います。
これは、「豊かで満ち足りた経験をさせてもらった」という意味になります。
「充実」を使った例文
・『先生と過ごした毎日はとても充実していました』
・『引っ越しをして、これから新しい生活が始まる。充実した日々を過ごしたい』
・『その私立学校の設備は充実していて、生徒や保護者から人気が高い』
・『あの頃は大変だったけれど充実していたな、とかつての生活に思いを馳せた』
・『この区域の図書館の所蔵は充実しているので、きっと目当ての本が見つかると思います。もしもこの図書館になくても、隣の区から取り寄せられます』
・『彼女の仕上げた論文は充実した良い内容だった』
「充実」の類語
「充実」の類語は「充溢」(じゅういつ)です。
「充溢」は「満ち溢れる」という意味の語で、やる気や気力が満ちている様子を表すときによく用いられます。
「充実」が「十分に備わっている」「いっぱいに満ちている」という意味の語なので、「満ち溢れている」様子を示す「充溢」は、「充実」の類語であると考えられます。
また、「満足」(まんぞく)も「充実」の類語です。
「満足」とは「心が満ち足りていて、不満のない様子」のことです。
「充実」の対義語
「充実」の対義語は「空虚」(くうきょ)です。
「空虚」とは「中身がなく、からっぽであるさま」のことです。
「空虚」には「何の価値もない」という意味もあります。
例を挙げると、「充実した経験」というと「価値のある、よい経験」のことで、「空虚な経験」というと「価値のない、無駄な経験」という意味になります。
「充足」の意味
続いて、「充足」の意味をみていきましょう。
「充足」は「じゅうそく」と読みます。
「十分に補い満たすこと」という意味です。
「十分に足りていること」という意味もあります。
「必要なことが十分に補われ、こと足りていること」が「充足」です。
「充足」の使い方
「充足」は、簡単に言えば「足りている」ということです。
必要なものが十分に行き渡り、満ち足りているとき、「充足」という語が使われます。
たとえば、「人員の充足を計る」と用いたときは、「人員が十分に足りるように計画を立てる」という意味になります。
「充足」を使った例文
・『早急に保育施設の充足を進めないといけない状況である』
・『久しぶりに思いっきり外で遊んだ。子どもは充足感を得て嬉しそうだ』
・『過去一週間の食事で取った栄養をグラフで表してみました。鉄分の充足率が足りていないので、レバーやホウレンソウなどを食べるとよいでしょう』
・『人数分の端末がないことに気付き、すぐに充足させるように頼んだ』
・『この地域の高齢者施設は充足しています。希望すれば、ほとんど待ちのない状態でデイサービスに通うことができます』
「充足」の類語
「充足」の類語は「到達」(とうたつ)であると考えられます。
「到達」は「辿り着く」という意味です。
何か目標となる数が設定されている場合において「到達」という語が使われたとき、「足りた」という意味になります。
「充足」の対義語
「充足」の対義語は「不足」(ふそく)です。
「不足」とは、「足りていない」という意味です。
また、「欠乏」(けつぼう)も「充足」の類語です。
「欠乏」とは「必要なものが十分にないこと」を示す言葉です。
まとめ
「充実」と「充足」の違いについて解説しました。
二つとも「満ち足りている」という意味を持つ言葉です。
「満ち足りている」という意味に加えて、「充実」は「中身がいっぱいに満ちている」という意味を持ちます。
「充足」は「数が十分に足りている」ときによく用いられる言葉です。