この記事では、「見参」と「参上」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
見参と参上の違い
「見参」には、3つの意味があります。
1つめは、目上の人のところに行き、対面をすることです。
2つめは、目上のものが目下のものに会ってやることです。
3つめは、節会や宴会などに出席することです。
節会とは、節日や重要な公事のある日に、天皇が諸臣に酒などを賜る儀式を指します。
「参上」は、自分よりも目上の人のところに行くことです。
「見参」の1つめの意味と「参上」の意味は、ほぼ同じです。
「参上」は単に自分よりも目上の人のところに行くという意味ですが、「見参」は目上の人のところに行くだけでなく、対面するという意味も含まれています。
見参と参上の使い方の違い
2つとも、自分よりも目上の人のところに行くときに使われる言葉です。
対面するという意味も含ませたいときには「見参」を使用します。
「参上」はへりくだっていう言葉です。
一方、「見参」には複数の意味があり、自分よりも目上の人に対面するという意味ではへりくだっていう言葉ですが、目上の人が目下のものに会ってやることはへりくだりではありません。
見参と参上の英語表記の違い
「見参」は英語で“see”や“meet”と表記をします。
英語の“see”や“meet”は目上ではない人にも使われるので、日本語の「見参」とはややニュアンスが異なります。
「参上」は英語で“visit”と表記をします。
見参の意味
「見参」には、3つの意味があります。
1つめは、参上をして目上の人に対面することです。
目上の人というと、会社組織だと一般の社員にとっては部長や課長、社長などになりますが、会社組織のことだけでなく、岳父なども目上の人になります。
2つめは、目上の人が目下のものに会ってやることです。
3つめは、節会や宴会などに出席することです。
「見」という漢字には、みる、人に会うという意味があり、「参」という漢字には、目上の人のところに行くという意味があります。
漢字が持つ意味からも、目上の人のところに行き、人に会うという意味がわかります。
見参の使い方
目上の人に会うときに使う言葉です。
「見参」には3つの意味がありますが、節会や宴会などに参加することという意味では、日常的にはあまり使いません。
節会は天皇が諸臣に酒などを賜る儀式で、一般の人にはほとんどかかわりのない儀式です。
見参を使った例文
・『岳父に見参する』
・『社長と見参しなければならず緊張する』
・『これから見参する』
・『見参するための準備を整える』
・『見参して手をあわせる』
見参の類語
「参上」が類語です。
見参の対義語
対義語はありません。
参上の意味
「参上」は、目上の人のところに行くことです。
目上の人でなくても、人のところに行くことをへりくだって言う意味もあります。
へりくだるとは、相手を敬って自分を控えめにする表現方法です。
目上の人に対しては、相手を敬うことが礼儀とされる場合があります。
また、相手に敬意を持っている場合は、自分を控えめにすることもあります。
「参上」には、相手を敬う意味が含まれています。
参上の使い方
時代劇などで出てきそうな言葉ですが、現代でも「参上」という言葉は使用されています。
「動画配信サイトに参上」のような使われ方がしています。
動画配信サイトに登場したといった意味です。
動画配信サイトは目上の人ではありません。
敬う相手でもないでしょう。
「参上」は目上の人のところに行くことなので、「参上」が持つ本来の意味とは違った意味で使われています。
本来の意味では「お宅に参上します」のような使い方をします。
この場合、その家に住んでいる人のことを敬う意味が含まれています。
「お宅」と丁寧に表現をしたり、尊敬の意を表す「お」をつけて表現していることからも、相手のことを敬っていることがわかります。
参上を使った例文
・『御殿に参上する』
・『品物を持ってお宅に参上いたします』
・『明後日に参上いたします』
・『いずれ参上するという手紙を受け取る』
・『参上をして申し述べる』
参上の類語
「参る」「参じる」が類語です。
「参る」には、神社や寺などに詣でることという意味と、「まいりました」など負けを認める意味があります。
「参じる」は、参ずるの上一段活用です。
「参ずる」は参上することを意味します。
参上の対義語
目上の人のところに行かないことを意味する言葉が対義語ですが、一言で表せる言葉はありません。
強いて言えば「行かない」が対義語になります。
まとめ
どちらの言葉にも、目上の人のところに行くという意味が含まれています。
しかし、「見参」は目上の人のところに行くだけでなく、対面する意味も含まれていて、この点が「参上」と違います。
また、「見参」には複数の意味があり、意味によって使われる場面が異なります。