この記事では、「格闘」と「奮闘」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「格闘」と「奮闘」の違い
「格闘」には、2つの意味があります。
1つめは、あるものとあるものが組みついてたたかうことです。
もう一つは、難しいことや大変なことに、出来る限りの力を傾けて取り組むことです。
「奮闘」にも、2つの意味があります。
1つめは、力を十分に発揮してたたかうことです。
2つめは、力の限りを尽くして励むことです。
それぞれの言葉は2つの意味を持っていますが、「格闘」の1つめの意味と「奮闘」の1つめの意味が「たたかう」という点で似ています。
また、「格闘」の2つめの意味と「奮闘」の2つめの意味も「力の限り取り組む」という点で似ています。
しかし、ややニュアンスの異なる言葉です。
「格闘」と「奮闘」の1つめの意味については、前者は組み合ってたたかうことを指しているのに対し、後者は組み合うという意味が含まれていない点が違います。
前者の言葉は、たとえばプロレスで2人の選手が腕をつかみあったりして戦うさまを意味しています。
後者の言葉は、「孤軍奮闘」という使われ方をするように、一人で努力をすることをいいます。
戦うことですが、組み合うという意味は含まれていません。
「格闘」と「奮闘」の2つめの意味については、ほぼ同じ意味です。
どちらの言葉も一生懸命に取り組むという意味が含まれています。
しかし、「格闘」は困難な状況に取り組むことを指しているのに対し、「奮闘」は困難な状況の意味が含まれていない点に違いがあります。
「格闘」と「奮闘」の使い方の違い
組み合ってたたかうこと、難しい状況に力を傾けて取り組むことに「格闘」を使用します。
力いっぱいたたかうこと、力の限り努力をすることに「奮闘」を使用します。
「格闘」と「奮闘」の英語表記の違い
「格闘」は英語で“fight”や“scuffle”と表現をします。
「奮闘」は英語で“struggle”と表現をします。
「格闘」の意味
「格闘」には、2つの意味があります。
1つめは、あるものとあるものが組み合ってたたかうことです。
プロレスがまさにその状態です。
プロレスの技に三角締めというものがあります。
相手の背中側から首と片腕を両脚で挟む技です。
この状況は、互いに組み合ってたたかっているといえます。
柔道は組み合ってたたかう競技です。
互いの腕などを取りたたかっています。
柔道の腕挫十字固は名前は知らなくても、見たことはあると思います。
相手の片腕を自分の両脚で挟んで締め、相手の腕を反らせる技です。
この技も互いに組み合っています。
こういった状態を指す言葉です。
もう一つの意味は、難しい状況、大変な状況に力の限りを尽くして取り組むことです。
建てつけの悪い扉を開けるときに「格闘」することがあります。
引き戸の場合、建てつけが悪いと軽い力では扉を開けることができません。
思いっきり力をかけてガタピシいわせてやっと開けるといった状態です。
このとき、力の限りを尽くして扉を押したり、引っ張ったりします。
扉に対して自分が一生懸命にたたかっている状態なのです。
このように一生懸命に取り組むことをいいます。
「格闘」の使い方
力の限りを尽くして何かとたたかうことに使用をします。
一人でたたかうことではなく、組み合ってたたかうことをいいます。
たとえば、プロレスや柔道などです。
格闘技だけでなく、難しい問題などに取り組むことも指しています。
「格闘」を使った例文
・『気がついたら格闘ゲームを2時間もやっていた』
・『この映画は格闘シーンが見どころです』
・『大雪と格闘する』
・『お風呂場のカビと格闘する』
「格闘」の類語
「決闘」「取っ組み合い」「つかみ合い」が類語です。
「決闘」は勝ち負けの決着をつけるためのたたかいを意味します。
「取っ組み合い」「つかみ合い」は、お互いが組み合ってたたかうことです。
「格闘」の対義語
ありません。
「奮闘」の意味
「奮闘」には、2つの意味があります。
1つめは、力を出せるだけ出してたたかうことです。
敵とのたたかい方には、相手と組み合う方法と相手に触れない方法があります。
相手と組み合う方法には、柔道やプロレスなどの技があり、相手に触れない方法には、銃や槍などの飛び道具を使う、言葉を使うなどがあります。
この言葉は、組み合ってたたかうことなのか、触れないでたたかうことなのかは、意味に含んでいません。
焦点を当てているのは、「力一杯」という点です。
自分が出せるだけの力を出して勝負を行うを意味しています。
もう一つの意味は、力の限りの努力をすることです。
小さな子どもの世話は大変で、日々努力をしている親御さんは少なくないことでしょう。
わがままをいう、夜泣きをする、離乳食を食べてくれない、片付けをしないなど、子どもが困った行動をすることがあり、それらに力の限りを尽くして努力をしているはずです。
ときには「嫌だ」と思うことがあっても、それでも子どもを向き合って努力をしていることでしょう。
このような状況を「育児に奮闘する」といいます。
この言葉には、組み合うという意味は含まれていないので、一人で努力をすることも意味しています。
難しい宿題を出されたときのことで考えてみます。
考えてもわからない、参考書を見てもわからない、このような問題を解くために、いろいろと頭を働かせて一人で努力することがあると思います。
この状態も「奮闘」といいます。
「奮闘」の使い方
何かと力いっぱいたたかうこと、何かを力いっぱい努力することに使用をします。
力を尽くすことに使う言葉です。
「奮闘」を使った例文
・『親を説得することに奮闘する』
・『難しい数学の問題に奮闘する』
・『慣れない料理に日々奮闘しています』
・『よりよい未来を作るために奮闘する日々です』
「奮闘」の類語
「奮戦」が類語です。
何かを行おうという気持ちを力いっぱい出してたたかうことです。
「奮闘」の対義語
ありません。
まとめ
力の限りたたかう、一生懸命に取り組むという意味が似ている言葉ですが、ややニュアンスが異なります。