「地方分権」と「中央集権」の違いとは?分かりやすく解釈

「地方分権」と「中央集権」の違い専門用語・業界用語

国と地方のあり方に関する言葉として「地方分権」「中央集権」があります。

このふたつは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「地方分権」「中央集権」の違いについて解説します。

「地方分権」とは?

「地方分権」とは、「行政上の権限をできるだけ地方に与え地方のことは地方自治で決めるべきであるという行政の考え方」を意味する言葉です。

地域に暮らす人々のために行われる様々な公共活動を「行政」といいます。

最も大きな行政単位は「国」ですが、行政は単位が大きくなればなるほど隅々まで目が行き届きにくくなるという欠点があります。

人々に対してよりきめ細かく質の高い行政サービスを提唱するための考え方として誕生したのが「地方分権」です。

「地方分権」とは「行政としての決定権や判断能力を一箇所に集中するのではなく各地方に分配し地方の首長が各地の事情に合わせて行政を判断する政治機構」を指します。

簡単にいえば「地域のことは地域の人々が決める」という考え方でありそのために必要な権限や財源でもできる限り地方に与えるのが「地方分権」の基本です。

「地方分権」には地域の事情や特性に合わせた行政が実現するというメリットがある一方、地域による格差が是正しにくいというデメリットがあります。

現在の日本で強力に「地方分権」を推進すると東京とそれ以外の地方で大きな格差が発生します。

現状では格差是正のために地方交付税交付金や補助金という形で支援が行われていますが本来の意味での「地方分権」は地方の自立、独立が前提となるため大きな格差が発生する恐れがあります。


「中央集権」とは?

「中央集権」とは、「権限や財源を中央政府に集中させる政治機構」を意味する言葉です。

国家の運営ではさまざまな権力構造があります。

「国家はできる限り権限を分散しないほうがいい」という考え方に基づくのが「中央集権」です。

「中央集権」では主要な権限や税などの財源が中央政府に集中します。

中央政府は集められた財源を地方に分配したり権限を行使したりして国家運営を行います。

「中央集権」において国家は中央政府を頂点とするピラミッド型の権力構造を形成します。

中央政府の判断によって全てが決まるトップダウン型の意思決定が行われるため中央政府の政治的判断が絶対的な影響料を持ちます。

国家の統一的な運営が実現するので全体としての活動には大きなメリットがもたらされる半面、地域事情が無視されたり下からの情報伝達が阻害されたりなどのデメリットも発生します。

中央政府に近いところと遠いところで格差が発生しやすく、本来は国家として均等に発展すべきはずなのにひずみやゆがみが生じやすいという欠点もあります。


「地方分権」と「中央集権」の違い

権限や財源をできる限り地方に移譲するのが「地方分権」、権限や財源をできる限り中央に集約するのが「中央集権」トいう違いで区別されます。

「地方分権」は地方の自由度が高まるのでそれぞれの事情に合わせた行政の実現や発展が見込めますが国家に対する帰属意識や一体感が薄くなります。

「中央集権」は一体となった国家運営が可能なので強権支配に向いています地方の行政能力向上には不向きです。

まとめ

「地方分権」「中央集権」は政治機構の違いでありはっきりとした優劣はありません。

地方を優先するのかそれとも中央政府に集約するのか、どちらが国家にとって良い結果をもたらすのかは一概には言えず個別の事情を考慮する必要があります。

国のあり方に関わる言葉なのですべての人に関係するものなので正しい意味を覚えておきましょう。