この記事では、「翻弄」と「もてあそぶ」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「翻弄」と「もてあそぶ」の違い
「翻弄(ほんろう)」は、「相手を自分にとって都合良く振り回すこと」を意味しています。
「翻弄」は国語辞典の意味では「相手を思いのままにもてあそぶ(弄ぶ)・もてあそばれる」と定義されるので、「もてあそぶ」の同義語と解釈することもできます。
ただし、「もてあそぶ」は「翻弄」が持っていないいくつかの意味を持っています。
「もてあそぶ」には「手にモノを持ってあれこれ触る・いじる」や「人を自分に都合よく使って慰めにする」、「心の慰めを目的して対象を観賞したりかわいがったりする」などの「翻弄」にない複数の意味がある違いがあるのです。
「翻弄」と「もてあそぶ」の使い方の違い
「翻弄」という言葉は、「相手を自分の意図・欲求に合わせ、思い通りに振り回す」や「本人の意思とは関係なく、あちこち動き回らせる(波に翻弄されるなど)」の意味で使う使い方をします。
「もてあそぶ」にも「相手を意のままに好きに扱う」という意味での使い方はありますが、「指輪を手でもてあそぶ」のように「手でモノをあれこれいじる」の意味で使われる違いがあります。
それ以外にも、「もてあそぶ」は「美しい彫像をもてあそぶ」のように、「気持ちを慰めるために対象(美術品など)を、観賞したり賞翫(しょうがん)したりする」の意味で使われる「翻弄」との違いを持っています。
「翻弄」と「もてあそぶ」の英語表記の違い
「翻弄」を、英語で表記すると以下になります。
“trifle with~”“play with~”……~を思いのままに扱って楽しむ。
~を慰みもの(おもちゃ)にしてもてあそぶ。
~を翻弄する。
“toss”“be tossed by~”……本人の意に反して物理的にあちこち振り回す。
翻弄。
~によって翻弄される。
「もてあそぶ」を、英語を使って表現すると以下になります。
“fiddle with~”……指(手)でモノをあれこれいじる。
~をもてあそぶ。
“trifle with~”“play with~”……~を意のままに動かして楽しむ。
~をもてあそぶ。
“watch and enjoy~”……~を観賞して楽しみにする。
~をもてあそぶ。
「翻弄」の意味
「翻弄(ほんろう)」とは、「相手を自分の意図・欲求・目的に合わせて、思いのままにあちこち振り回すこと」や「手玉に取ってあやつること」を意味しています。
「翻弄」の言葉には、「本人の意思と無関係に、物理的にあちこち動かすこと」の意味もあります。
「翻弄」の使い方
「翻弄」は「彼の言葉は私を翻弄する」のように、「相手を意のままに動かしたり振り回したりすること」や「相手を好きなように扱ってもてあそぶこと」を意味して使います。
「翻弄」の表現は「強風に翻弄されてよろめいた」のように、「物理的にあらがいがたい力によって、あちこち振り回されるの意味」でも使うことが可能です。
「翻弄」を使った例文
・『彼女の思わせぶりな態度や言葉に翻弄されていました。』
・『相手のことを翻弄するつもりはないのですが、自然にそういう関係になってしまうのです。』
・『彼はあなたのことを翻弄しているだけで本当に好きなわけではないのです。』
・『人から翻弄されて右往左往していた時間は、今振り返ると無駄な時間でした。』
・『折からの大波に翻弄されて、小型ヨットが転覆してしまいました。』
「翻弄」の類語
「翻弄」の類語には、以下の言葉があります。
・『手玉に取る(てだまにとる)』……相手を自分の意図・目的に合う形で、思い通りにあやつること。
・『弄ぶ(もてあそぶ)』……人を自分の欲求・願望のままに好きに扱うこと。思い通りに人を動かすこと。
「翻弄」の対義語
「翻弄」の対義語には、以下の言葉があります。
・『自若(じじゃく)』……何らかの問題・異変が起きても、精神状態や振る舞いに乱れがないさま。
「もてあそぶ」の意味
「もてあそぶ」とは、「人を自分の思い通りに扱って楽しむこと」や「好き勝手に言葉・モノを扱うこと」、「人を自分の意図・欲求に従うようにコントロールすること」を意味しています。
「もてあそぶ」は、漢字で「弄ぶ」と表記します。
「もてあそぶ」には、「モノを手に取ってあれこれ触って遊ぶ・楽しむ」や「人・異性を好き勝手に扱って慰みものにする」、「心を慰めたり楽しませたりするために芸術品などの対象を観賞(賞翫)する」といった他の意味合いも備わっています。
「もてあそぶ」の使い方
「もてあそぶ」は、「人・言葉・物を自分の好き勝手に扱って楽しむこと」や「人を思い通りに振り回すこと」の意味で使われます。
「もてあそぶ」の表現は、「トランプをもてあそぶ」のように「手で物をあちこちいじって遊ぶ」の意味でも使えます。
「もてあそぶ」には「歴史的な名画をもてあそぶ」のように、「気持ちを慰めるために対象物を観賞する意味」で使う使い方もあります。
また「異性をもてあそぶ」というように、「人や異性を自分の欲望に従って好きに扱って楽しむ」を意味して使うこともあります。
「もてあそぶ」を使った例文
・『何もすることがなく、机の上でボールペンをもてあそんでいました。』
・『人の気持ちをもてあそぶような恋愛をするべきではありません。』
・『彼は自分の部下をいたずらにもてあそぶような卑劣な指導をしていたのです。』
・『彼女は若い頃は男をもてあそんでいたので、中には彼女を恨んでいる人もいました。』
・『美しいオブジェをもてあそんで優雅な時間を過ごすのが、休日の楽しみになっています。』
「もてあそぶ」の類語
「もてあそぶ」の類語には、以下の言葉があります。
・『玩弄(がんろう)』……玩具(おもちゃ)のようにして、楽しむためにもてあそぶこと。
相手を下に見て好きに扱うこと ・『いじる』……手・指で対象物をあちこち触ったりなでたりすること。
・『嬲る(なぶる)』……自分よりも弱い相手・異性を、遊び半分でいじめたりもてあそんだりすること。
手・指で好きに触って遊ぶ。
「もてあそぶ」の対義語
「もてあそぶ」の対義語には、以下の言葉があります。
・『尊重する(そんちょうする)』……相手を軽視せずに、うやまって重視すること。
・『真剣(しんけん)』……ふざけ半分(遊ぶ半分)ではなく、本気で物事・相手と向き合うさま。
まとめ
「翻弄」と「もてあそぶ」の違いを詳細に説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「翻弄」と「もてあそぶ」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。