この記事では、「やませ」と「からっ風」の違いを分かりやすく説明していきます。
2つの言葉には、どのような意味と違いがあるでしょうか。
「やませ」とは?
「やませ」は「山背」と漢字表記します。
「やませ」は、「気象学において、山を越えて吹いてくる風で、フェーンの性質を持つ風」という意味があります。
ちなみに「フェーン」は、山を越えて平地に吹き下す乾燥した高温の風のことで、空気が山腹を登る時は、冷却して雨を降らし、下る時は、温度が上がり、乾燥する風を指します。
また「やませ」には、「主に東北地方の太平洋側で、春から夏に吹く冷たく湿った風のこと」という意味があります。
寒流である親潮の上を通過してくる「やませ」は、温度が低く、稲を中心に、農作物に悪影響を及ぼします。
そのため、農作物が不作になるなど、経済活動に大きな影響を与えることがあります。
このように、「やませ」は、気象学的には、山を越えて吹いてくる乾燥している風を指すのに対して、東北地方においては、親潮によって冷やされた、冷たく湿った風のことを意味します。
「からっ風」とは?
「からっ風」は「空っ風」と漢字表記します。
「からかぜ」とも呼びます。
「からっ風」は、「冬に雨や雪などを伴わないで、強く吹く乾いた北風のこと」という意味があります。
主に、関東地方に吹く、寒風を言います。
特に、群馬県の冬に吹く風は、「上州のからっ風」として全国的に有名です。
群馬県の赤城山から平野に向かって吹き降ろす強く乾いた北風が、別名「赤城おろし」と呼ばれています。
フェーン現象によって、冷え込みが抑えられることから、風は強いものの、降雪量は少なくなる傾向があります。
一方で、強風により、看板が飛んだり、庭木が折れるような被害が及ぶ場合もあります。
かつて、畑の周辺では、洗濯物が干せない、土ぼこりが部屋の中に入ってくるというような、被害もありました。
「やませ」と「からっ風」の違い
「やませ」と「からっ風」の違いを、分かりやすく解説します。
「やませ」は、「気象学において、山を越えて吹いてくる風で、フェーンの性質を持つ風」という意味があります。
一方で「からっ風」は、「冬に雨や雪などを伴わないで、強く吹く乾いた北風のこと」という意味があります。
この意味では、「やませ」と「からっ風」は、ほとんど同じ意味があります。
ただし「やませ」には、「主に東北地方の太平洋側で、春から夏に吹く冷たく湿った風のこと」という意味があります。
こちらを採用する場合は、「やませ」の「湿った風」と「からっ風」の「乾いた風」という違いがあり、また「やませ」は東北地方に吹く風なのに対して、「からっ風」は関東地方、特に群馬県に吹く風という違いがあります。
まとめ
「やませ」と「からっ風」の違いについて見てきました。
2つの言葉の意味の違いを知ることで、天気予報を見たときの理解が深まるかもしれません。