この記事では、「蓄積」と「累積」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「蓄積」と「累積」の違い
「蓄積」とは、たくさんたまること、ためることです。
「累積」とは、次から次へと重なるようにたまることです。
どちらの言葉にもたまることという意味が含まれていますが、ニュアンスが違います。
「蓄積」の場合は、後で使うためにためておくという意味が含まれています。
ためておくものは、よいもののことが多いです。
それに対して「累積」の場合は、あるものの上にそれと同種のものがたまっていくという意味を含んでいます。
また、たまっていくものは、たまることが好ましくないものが多いです。
「蓄積」と「累積」の使い方の違い
どちらもたまることに使用します。
「蓄積」の場合は、物品、金銭、力、知識などに使用をします。
物質にも非物質にも使用可能です。
「疲労が蓄積する」のように、たまって欲しくないものがたまることもいいますが、「知識を蓄積する」のように、たまることがよいものに使われることが多いです。
「累積」は、赤字や債務などたまると負担になるようなものが、次から次へと重なるようにたまることに使用します。
「疲労が累積する」のように、「蓄積」と同じように使用することも可能ですが、「知識を累積する」とはいいません。
「蓄積」と「累積」の英語表記の違い
「蓄積」は英語で“accumulation”と表現をします。
「累積」も英語で“accumulation”と表現をします。
「蓄積」の意味
「蓄積」とは、たくさんたまること、たくわえることです。
物品、金銭、力、知識などがたまることをいいます。
後で役立てようという目的があり、たくわえることをいう場合が多いです。
学校に通って勉強をしたり、読書をしたりすると、知識を得ることができます。
知識は見えないものですが、脳の中にたまっていくと考えられます。
知識をたくさんたくわえていくことを「知識を蓄積する」といいます。
たくわえた知識は後で役立てることができます。
「情報を蓄積する」といった場合、たくわえる目的は情報を後で役立てるためということが少なくありません。
このことからも、「蓄積」には後で役立てるためにためるという意味が含まれていることがわかります。
しかし、「疲労が蓄積する」と使うことができ、疲労はためておいても役立つことはなく、むしろない方が望ましいもので、必ずしも後で役立てるためにためておくことを指しているのではありません。
「蓄積」の使い方
たくさんためること、たくわえることを指して使用をします。
ためるもの、たくわえるものは、物品、金銭、力、知識などです。
よいものをためることにも、悪いものをためることにも使用できます。
よいものをためる例では、「知識を蓄積する」「富が蓄積する」などの使い方があります。
わるいものがたまる例では、「疲労が蓄積する」のような使い方があります。
「蓄積」を使った例文
・『蓄積した資金で新しい事業を始める』
・『長年肌に蓄積したダメージによってシミが増える』
・『これまで蓄積してきたノウハウを活かす』
・『生物濃縮によって汚染物質が蓄積した魚』
「蓄積」の類語
「累積」が類語です。
「蓄積」の対義語
たまるとは、どんどん増えていくことです。
その反対は、どんどん減ることになります。
その意味を持つ言葉が「減る」や「減少」です。
「累積」の意味
「累積」とは、次から次へと重なるようにたまることです。
「重なる」には、ある事や物の上に同じものが加わるという意味があります。
つまり、「累積」は同じ種類のものがたまるという意味になります。
「疲労が累積する」という言い方ができますが、これは疲労という同じものが重なり積もることを意味しています。
疲労の次の元気、その次に疲労がたまっていくといったような、違う種類のものがたまることではありません。
また、「不満が累積する」といった場合も、不満という同類のものがたまっていくことを意味しています。
「累積」の使い方
どんどんとたまることを指して使用します。
「累積」は、赤字、借金、債務など、たまってもうれしくないものがたまっていく意味で使われることが少なくありません。
しかし、悪い意味で使われるだけではなく、「ポイントが累積して特典をもらう」といった、うれしい意味でも使われています。
「累積」を使った例文
・『累積していた問題を片づけなければならない』
・『累積販売数が○○個を突破』
・『これまでの感染者の累積は○○人です』
・『疲労が累積してしんどい』
「累積」の類語
「蓄積」が類語です。
「累積」の対義語
「減る」や「減少」が対義語です。
まとめ
たくわえる、たまるという同じ意味を持っている言葉ですが、「蓄積」は後で役立てるためにためておくという意味合いがあり、「累積」は好ましくないものがたまるという意味合いがあり、この点が違います。