この記事では、「返す」と「戻す」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「返す」と「戻す」の違い
「返す」には数多くの意味がありますが、代表的なものには、もとにあった場所に戻す、借りたものを所有者のもとに戻す、ひっくりかえすなどがあります。
「戻す」にもいくつかの意味がありますが、代表的なものには、もとあった場所に返す、冷凍されていたり、乾燥させたりしてあったものを、解凍したり、水に浸したりする意味があります。
もとにあった場所に戻す、返すという意味では同じですが、「返す」の場合は所有者のもとに戻るという意味が強く、「戻す」の場合は所有権の移動はありません。
「返す」と「戻す」の使い方の違い
もとにあった場所に戻す、返すという意味では、ほとんど同じように使われていますが、「返す」は所有権が移動する場合に使われることが多くあります。
図書館に置いてある本は自由に読めるものがほとんどで、書棚から出して読むことができます。
貸出手続きをせずに図書館内で読んでいた本を、もとにあった場所に置くことには「戻す」が使用されます。
図書館の本を貸出手続きして、一度自分が借りたものとし、その本を図書館に戻すことには、「返す」を使用します。
貸出手続きをして一時的に自分のもののようにしているので、「返す」が使用されるのです。
また、「返す」は表であったものを裏にする、上にあったものを下にするという意味でも使われます。
「返す」と「戻す」の英語表記の違い
「返す」は英語で、返却する意味では“return”、ひっくりかえす意味では“turn over”と表記をします。
「戻す」は英語で、もとあった場所に返す意味で“return”や“put back”と表記をします。
「返す」の意味
「返す」には、数多くの意味があります。
まず、表であったものを裏にする、上にあったものを下にする意味があります。
せんべいを焼くときは、片面ずつを火にあてて両面を焼きます。
火にあたっている方を表とすれば、火にあたっていない方が裏になります。
この火にあたっていた方とあたっていない方を違えることを「せんべいを返す」のようにいいます。
他に「返す」には、物をもとにあった場所に戻すという意味もあります。
借りていたものを所有者に戻すという意味もあり、所有権を移す意味が含まれています。
「返す」の使い方
さまざまな意味がありますが、もとにあった場所に戻す、所有者に戻すという意味で使われることが多いです。
自分自身が所有する本を、もともとしまわれていた本棚に戻すことを「本棚に返す」ということができ、また図書館から借りた本を戻すことを「図書館に返す」ということができます。
「返す」という言葉は物に使われ、人には使いません。
「家にかえす」の場合は、「返す」ではなく「帰す」の漢字を使用します。
「返す」を使った例文
・『借りていた本を返す』
・『裏になっていた洋服を返す』
・『友達に借りていた辞書を返す』
・『不良品だったので購入店に返す』
「返す」の類語
「戻す」が類語です。
「返す」の対義語
借りていたものを所有者に戻す意味の対義語は「借りる」になります。
「戻す」の意味
「戻す」にはいくつもの意味があります。
まず、もとにあった状態やもとにあった場所に返すという意味です。
会話をしていて途中で別の方向に話が進んでしまうことがあります。
別の方向に進んでしまった話しを、もともと話していたことに返すことを「話しを戻す」といいます。
必要があってハサミを使ったとき、使い終わったものをそのままにしておくと危険であり、また必要なときに見つからなくなってしまいます。
ハサミはもともと決まった場所においてあったはずです。
その場所に返すことを「戻す」といいます。
ひじきやこんぶなどの乾物は、食べるときに水に浸します。
このことを「戻す」といいます。
冷凍されていたものを解凍することも「戻す」の意味です。
時計の針を逆の方向に動かすことも「戻す」です。
「戻す」の使い方
もとにあった場所に返す意味では、所有権の移動はありません。
借りたお金、借りた本などを返すことには「戻す」を使わないことが一般的です。
所有権が移動せず、もとにあった場所に返すことに「戻す」が使われます。
もとにあった状態にする意味では、「体重を戻す」のような使われ方をします。
ちょうどよい体重が50kgだった人がその体重よりも増えてしまった。
そこから50kgになったといった意味です。
数値は例です。
「戻す」を使った例文
・『おもちゃを商品棚に戻す』
・『わかめを水で戻す』
・『破損した建物を破損前の状態に戻す』
・『怪我で落ちていた調子を戻す』
「戻す」の類語
「返す」が類語です。
「戻す」の対義語
対義語はありません。
まとめ
もとにあった場所に返す、戻す意味では同じですが、所有権の移動のある・なしの意味が違います。
また、それぞれの言葉は複数の意味があり、共通しない部分もあります。