この記事では、「法治主義」と「法治国家」の違いを分かりやすく説明していきます。
「法治主義」とは?
「法治主義」とは、すべての人民は明言され定められたルール、法律に従って生きるべきであり、立場などによる例外などもなく、法による統治が行われるべきであるという思想です。
個人単位でこのような思想を持っていることもありますが、組織や国単位でこのような法律というルールを絶対視する主義を掲げていることも多くあります。
しかしどういう人やどういう存在、どういう集団が掲げているかに関わらず、全ての人が法律に基づいて行動を制限され、法で禁止されていることはどれだけ偉い立場の人間であってもしてはいけないという思想だけが「法治主義」です。
ただしその守るべきルール、法律は場所や人によっても違いがあり、どこかの組織では法で許されているから「法治主義」でも大丈夫ということもあれば、別の組織では法で禁止されているから他の組織で許されていてもしてはいけないということもあります。
「法治国家」とは?
「法治国家」とは「法治主義」を掲げている国家を指します。
現在の世界情勢では、近代社会の国は「法治主義」によって統治がなされている「法治国家」であることがほとんどです。
「法治国家」でも国を統治する国王や、政治的にトップであり国の行く末を左右する立場にいる人間もいますが、そのような他の国民より権力がある立場の人達も、法による束縛を受けており、法を破ればそれに応じた罰を受けることになります。
国家として人民を統治する政治的決定は全て法に基づいて行われ、それを破り他者を虐げる者には立場を問わず厳しい罰が与えられるため、「法治国家」として機能していれば、ある程度秩序ある情勢を期待できるようになることがメリットです。
しかし逆に言えば他者を苦しめるような法律であっても、法として制定されていれば許されてしまう欠点もあります。
「法治主義」と「法治国家」の違い
「法治主義」と「法治国家」の違いを、分かりやすく解説します。
権力の有無などあらゆる要素に関係なく全ての人は法律に従って統治されるべきという思想が「法治主義」で、その思想のもとに統治されている国家が「法治国家」です。
「法治主義」は個人単位で掲げられていることもあるので、そういう考えを持つ人がいるとしても、その国が「法治主義」に基いた統治を実施されているとは限りません。
しかし「法治国家」では、どのような法律を制定しているかは別として、「法治主義」に基いた統治が実際に行われています。
まとめ
「法治主義」はあくまで思想でしかなく、それを実践できているかは無関係です。
しかし「法治国家」は「法治主義」を掲げ、その思想通りの統治をしている国家になります。
「法治国家」では、国王のような国の象徴的な人も、実質的に国を左右する権力を持つ政治的なトップに位置する人も、法に従わなければいけません。