この記事では、「朱印船貿易」と「勘合貿易」の違いを分かりやすく説明していきます。
2つの言葉には、どのような意味と違いがあるでしょうか。
「朱印船貿易」とは?
「朱印船貿易」は「しゅいんせんぼうえき」と読みます。
「朱印船貿易」は、「朱印状を受けた船による、貿易のこと」という意味があります。
「朱印状(しゅいんじょう)」とは、朱印を押した書状を意味し、朱肉を使って押した印がある、公文書を意味します。
戦国時代以降、将軍や武将が所領安堵や、海外渡航許可などの際に発行する公文書には、「花押(かおう)」の代わりに朱印が押されていました。
ちなみに「花押」は、文書の末尾などに各署名の一つになります。
安土桃山時代の太閤・豊臣秀吉の朱印状を携えた南蛮貿易船により、「朱印船貿易」は始まりました。
しかし、徳川の世を迎え、1639年に江戸幕府が対外封鎖政策、いわゆる「鎖国」をすると、「朱印船貿易」は禁止となりました。
「勘合貿易」とは?
「勘合貿易」は「かんごうぼうえき」と読みます。
「勘合貿易」は、「室町時代に勘合を用いた、中国・明国との貿易のこと」という意味があります。
「日明貿易(にちみんぼうえき)」とも呼ばれています。
1404年から、中世まで、約140年間続いた貿易を指します。
「勘合」とは、「明代の中国で、正式の使船の証として、外国に与えた割符のことを指します。
明国が日本に与えた「勘合」は、「日本」という2文字で、明国側が「日」を、日本船は「本」の字を持参して、正式な船かどうか照合していました。
「日明貿易」は、室町幕府将軍・足利義満が使節を明国に派遣し、正式な通交を開くことを求めたことに始まります。
「日明貿易」は、1401年から1549年まで、19回にわたって続きましたが、1404年から、勘合を所持したものだけに貿易が制限されたため、「勘合貿易」という点では、1404年がスタート年となります。
「朱印船貿易」と「勘合貿易」の違い
「朱印船貿易」と「勘合貿易」の違いを、分かりやすく解説します。
「朱印船貿易」は、「朱印状を受けた船による、貿易のこと」という意味があります。
一方で、「勘合貿易」は、「室町時代に勘合を用いた、中国・明国との貿易のこと」という意味があります。
どちらも、中世の日本における貿易を意味する言葉という共通点があります。
ただし、「朱印船貿易」は「朱印」を用いた貿易なのに対して、「勘合貿易」は、「勘合」を用いた貿易という違いがあります。
また、「朱印船貿易」は、安土桃山時代から江戸時代初頭にかけて行われた貿易なのに対して、「勘合貿易」は、室町時代に行われた貿易で、貿易をおこなった年代にも違いがあります。
まとめ
「朱印船貿易」と「勘合貿易」の違いについて見てきました。
「朱印船貿易」は「朱印」を、「勘合貿易」は、「勘合」を使うという違いがありました。
2つの言葉の意味の違いを知ることで、混同せずに使い分けることができるようになりそうです。