「形式知」と「暗黙知」の違いとは?分かりやすく解釈

「形式知」と「暗黙知」の違い専門用語・業界用語

知識には「形式知」「暗黙知」のふたつがあるとされています。

このふたつは具体的にどのような違いによって区別されているのでしょうか。

今回は、「形式知」「暗黙知」の違いについて解説します。

「形式知」とは?

「形式知」とは、「言葉や文字、図や絵など形として表すことができる知識」を意味する言葉です。


「形式知」の使い方

「形式知」とは「形にされた知識」であり具体的には「説明が可能で物理的な方法で人に伝達できる知識」を指します。

我々が知る知識には人から説明を受けて学んだものと自らの体験や経験を通じて自然に身につけたものの2種類がありますが、さまざまな知識のうち「論理的に形式化された知識」「形式知」です。

「形式知」とは一般的には「知識の言語化」という言い換えるケースが多く見られます。

ある知識を人が有しているとき人に伝えられなければその知識はその人個人のみで終わってしまいます。

人が習得した知識を言葉にしたり絵や図に表したりすることで外部に対する伝達が可能になり教育という方法で広くしらしめることができます。

このような「人に教えられる形になっている知識」「形式知」です。

「形式知」の代表が「教科書」です。

教科書には人類がこれまでの歴史で発見した知識が未熟なものでもわかりやすいよう文章や図にまとめられています。

「形式知」は確固たる形が作られているので誰が教えても誰が学んでも伝えられる知識はすべて同じ内容です。


「暗黙知」とは?

「暗黙知」とは、「外部へ伝えられる形にまとめていない人が暗黙のうちに身につけている知識」を意味する言葉です。

「暗黙知」の使い方

人の知識のうち「経験や体験を通じて学んだその人特有の知識」のことを「暗黙知」といいます。

作業するときのコツや工夫など「暗黙知」には細かい部分に関する知識が多く、そのほとんどは個人が自分の経験として積み重ねる形で蓄えられています。

「暗黙知」は人に伝達される機会が少なく知識を有している人がいなくなってしまうと「暗黙知」そのものも絶えてしまいます。

職人の世界では秘伝や奥義という形で「暗黙知」が継承されるケースがよくあります。

「形式知」と「暗黙知」の違い

「形式知」「暗黙知」の違いは「言語化されているか」です。

「形式知」は知識を言語化したものなのでマニュアルや教本という形でまとめられるほか講義や指導という形で人に伝えられます。

「暗黙知」は個人が持っている知識のうち言語化されていないものをさします。

手取り足取り教えて伝授することは可能ですが広く普及させるのには向いていません。

スポーツの指導において戦術やトレーニング方法など知識として体系化されているものが「形式知」です。

選手ごとに異なる力の入れ方や動きを盗むコツなど体系化されていない知識は「暗黙知」に当たります。

「暗黙知」を言語化しまとめあげることで「形式知」になります。

「形式知」の例文

・『幼いうちに形式知を学ぶのが重要だ』
・『形式知は独学でも学べる』

「暗黙知」の例文

・『暗黙知の軽視が失敗の原因だ』
・『現場実習の目的地は暗黙知を身につけることである』

まとめ

同じ知識を指す言葉でも「形式知」「暗黙知」では大きく性質が異なります。

身につける方法にも違いがありますが単純に優劣で比較するものではありません。

どちらの知識も等しく貴重なものなので学ぶ機会を大切にしましょう。