困っている人・組織などを助ける行為を表すのに使用されるのが【支援】と【擁護】という言葉です。
ここでは、二つの言葉の違いについて詳しく説明してみます。
「支援」と「援護」の違い
【支援】は、「支える」という漢字が使われているように、人や組織などを何らかの形で支えてあげることです。
【援護】は「護る」(まもる)という漢字が使われているように、人や組織などを危険な状況や状態から「まもる」ことで助ける行為を示す言葉です。
「支援」と「援護」の使い方の違い
【支援】は、危険やリスクには関係なく、助けを必要とする人や組織などに対して力を貸す時に使われる言葉です。
助けるための方法としては、金銭的、物質的、精神的といろいろあります。
【援護】は、何らかの脅威やリスクがあり困っている人や組織などを、まもるために助ける行為に対して使われます。
この二つの言葉の違いがわかりやすい例として、「要支援者」と「要援護者」があります。
どちらも自治体などでよく使われる言葉です。
「要支援者」は、自分の力だけでは生活するのに困難があり、他からの【支援】、すなわち助けを必要としている人です。
「要援護者」は、災害などをはじめとする危険な状態に直面していて、【援護】、すなわち助け出してもらうのを必要としている人です。
「支援」と「援護」の英語表記の違い
【支援】は、英語のサポート「support」、アシスト「assist」が、【援護】は、英語のヘルプ「help」、エイド「aid」が意味としては近いでしょう。
「支援」の意味
「支える」という漢字が使われていることから想像ができるよう、【支援】が持つ言葉の意味は、「助けを必要とする人・組織などのために実際に行動を起こし支えてあげること」になります。
広義な意味で、「助ける」という意味に属する言葉です。
ただし【支援】する側は、あくまでも脇役です。
助けを必要としながらも、メインとなって目的や目標に向かうのは、支援される側です。
自らが中心となり、全面的に第三者を助ける場合には、【支援】とは言いません。
「支援」の使い方
「支援金」「支援センター」「支援プロブラムア」など、近年では【支援】がつく言葉をよく耳にします。
【支援】という言葉は、「困っている人を助ける」という、ポジティブな響きがあります。
昔は物質的な支援をすることを、「めぐんであげる」「施(ほどこし)をする」などの表現を使っていました。
しかしこれは、助けてもらう側を下に見た言葉です。
そのために、今はでは「支援」という中立的な言葉が使われるようになりました。
「支援」を使った例文
・『彼女はとても困っていて、最終的に親戚に支援をお願いした』
・『どこまで支援すべきか、これから話し合おう』
・『彼は親に対する態度が極めて悪く、ついに支援を打ち切られた』
「支援」の類語
「支援」の類語には、「援助」「力添え」「助ける」「補助」があります。
また「バックアップする」というカタカナ英語も同じようなニュアンスがあります。
「支援」の対義語
支援の対義語は「妨害」になります。
意図を持って他人・組織などの行為を邪魔して、目的や目標にたどり着かないように妨げる、つまり邪魔することです。
また妨害ほどではありませんが、「助けを必要とする人に手を貸さないで、見て見ぬ振りをする」という意味では、「無関心や無視」という言葉も、ニュアンスからすると対義語に近いでしょう。
「援護」の意味
【擁護】の意味は、困っている人に対して助けの手を差し伸べることです。
ただし、【支援】とは助ける内容が違います。
【擁護】は、助ける対象が危険な状態で困っている人になります。
そして、その対象が安全な状態に落ち着けるよう、助け出してあげる行為を意味します。
「援護」の使い方
「援護射撃」「援護を要する」などの言葉は、映画の緊迫したシーンなどで聞いたことがあるでしょう。
このような【擁護】を用いた言葉は、生命の危険と関係する場面において、他の人の助けを必要とする時に使用されています。
もちろん生命の危険だけではなく、自分の力だけでは、何らかの危険から脱することができない人を助けてあげる時にも使う言葉です。
「援護」を使った例文
・『この状況では、今すぐに援護の要請すべきだ』
・『援護してもらったおかげで、無事に過ごすことができた』
・『援護が必要なら、すぐにでも連絡してください』
「援護」の類語
【擁護】の意味に近い言葉には「救援」と「保護」などがあります。
しかし「保護」では、ちょっとその意味合いが弱くなります。
「援護」の対義語
【擁護】と反対の意味を持つ言葉には、「妨害」「見捨てる」などがあります。
また支援の対義語と同じように、「助けるべき人に手を差し伸べない」という意味においては、「無関心や無視」も対義語に近いでしょう。
まとめ
「支援」と「援護」はよく耳にする言葉です。
しかし、その違いを詳しく知らない人もいます。
使い方を間違えないように、二つの言葉の違いを頭に入れておきましょう。