この記事では、「見事」と「立派」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「見事」と「立派」の違い
「見事」は、見るべき事という意味で、見るべき価値のあることがらという意味の言葉が転じて、外側から見た様子が素晴らしく優れているという意味合いを持つように成った言葉です。
動作や手際、技巧などが優れているという意味合いがあります。
「立派」は、威厳がありながら美しいようすや、堂々としているようす、素晴らしくに優れているようすという意味があります。
「派」には、一つのもとから分かれ出た流儀や、仲間、集団、思想、態度などの意味があり、その「派」を立てると書いて「立派」となります。
このような経緯から生まれた言葉ですから、「立派」という言葉には、そのような集団を立てるべき立場にある人が持っているであろう素養や、能力などのイメージが付加されているので、内容的に十分に整っていて不足や欠点などがないといった意味や、内面的にも素晴らしく優れているという意味があります。
「見事」と「立派」の使い方の違い
「見事」には、基本的に外側から見たことがらが素晴らしく優れているという使い方になるので、例えば、剣術の動作が凄いといったようすを表すときに、「見事な剣さばき」といった使い方をしますし、作品の見た目が凄いといったようすを表すときに、「見事な作品だ」といった使い方をします。
自然物を対象とした場合では、「見事な大木がある」とか、「見事な景色だ」といったようにあくまでも視覚的に見て判断できることに対して用いられている言葉です。
内容的には優れていなくても動作が優れていることに使われることもあり、例えば、空き巣の侵入が優れているときに、「見事な手口」だったといった使われ方があります。
ただし、「見事な手腕」のように、視覚的に見てすぐに判断できないような、物事を上手に処理していく能力が素晴らしく優れているという使い方もありますので注意が必要です。
「立派」には、派を立てるような人物がもっているであろう素養や、能力をイメージさせるような使い方であればある程度正しくなりますので、見た目だけでなく、内容的や、内面的なことに対しても積極的に使われます。
実際の使われ方として注意が必要な点は、皮肉めいて使われることがあるということです。
本当は、特に尊敬や威厳などを感じていないような相手に対して、「ご立派ですね」や「ご立派なことで」という使われ方があるので、この言葉を受け取った側が言われたときに思ってしまうイメージが、馬鹿にされた、侮辱されたというように、マイナス方向で受け取られてしまう可能性があります。
現在付加されている要素として、目上の人に対しては使わないといったことがあり、そもそも「立派」と呼ばれる相手よりも、発言者が年齢や立場などの要素で目上の人でなければ、良いイメージとして受け取られない可能性が高い言葉になるので注意が必要です。
「見事」は、基本的に外側から見たことがらが素晴らしく優れている様子に使われるのに対し、「立派」は、見た目だけでなく、内容的や内面的なことが素晴らしく優れているときに使われるという違いがあります。
「見事」と「立派」の英語表記の違い
「見事」と「立派」の細かい意味合いを正確に表現する英語表現はありませんので、状況に応じて使い分ける必要があります。
“wonderful”には、素晴らしい、素敵な、驚くべき、驚愕すべきという意味があります。
“beautiful”には、綺麗な、美しい、見事な、素晴らしい、素敵な、立派なという意味があります。
“splendid”には、華麗な、輝かしい、りっぱな、見事な、素晴らしいという意味があります。
“bravo”には、喝采、喜びの叫び声という意味があり、お見事と叫んでいる状況で代わり使える可能性があります。
“excellent”には、優秀なとう意味があるので、内面的に立派なといった意味合いで使えます。
“estimable”には、尊重すべき、経緯を払うべきという意味があるので、尊敬される対象という見方で、立派と翻訳される場合があります。
「見事」と「立派」を使った例文
・『見事なお手前です』
・『作品が見事だった』
・『コスモスが見事に咲いている』
・『料理が見事に失敗した』
・『桜並木が大変立派でした』
・『皇居のまわりには立派なおほりがある』
・『立派な立ち振る舞いができるようになりたい』
・『大人として立派に責任を果たす』
「見事」の類語
類語には、素敵があります。
素敵は、非常に優れていて印象がいいことという意味です。
「見事」の対義語
対義語には、不細工があります。
不細工は、細工がまずく、体裁が整っていないという意味です。
「立派」の類語
類語には、堂々があります。
堂々は、外見や物腰などにどっしりとした立派さを感じる様子という意味です。
「立派」の対義語
対義語には、粗末、貧弱があります。
粗末は、品質や物事がいい加減なことです。
貧弱は、みすぼらしい、見劣りがするようすです。
まとめ
「見事」と「立派」について説明しました。
「見事」は、基本的に外側から見たことがらが素晴らしく優れている様子に使われるのに対し、「立派」は、見た目だけでなく、内容的や内面的なことが素晴らしく優れているときに使われるという違いがあります。
「見事」は、内容の良し悪しに関係なく使われるので、犯罪の手口に対しても使われます。
「立派」は、人物に対して使い方を間違えると、皮肉と取られてしまう可能性があるので注意が必要です。