この記事では、「排除」と「廃除」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「排除」と「廃除」の違い
同じ読み方をする「排除」と「廃除」ですが、その意味には大きな違いがあります。
まず、「排除」は、一般的に広く用いられる言葉で、意味は、そこから追い出しなくすこと、いらないと判断したものや人を取り除く、しかも、強制的に取り除くといった意味を持ちます。
一方、「廃除」は、一般的に用いられる言葉ではなく、法律用語となります。
被相続人の意向で、家庭裁判所の審判により推定相続人の相続権を失わせることを意味します。
このように、同じように不要なものを取り除く、省くといった内容の「はいじょ」でも、何を「はいじょ」するのかによって大きな違いがある「排除」と「廃除」になります。
「排除」と「廃除」の使い方の違い
「排除」と「廃除」の使い方には、明確な違いがあります。
様々なものをその場から取り除く事なら、どんなものや人に対しても使用可能な「排除」に比べ、「廃除」の場合は、法律用語としての使い方のみとなります。
そのため、一般的に用いられるのが「排除」。
法律用語として、適した際に用いられるのが「廃除」だと明確に区別しておく必要があります。
「排除」と「廃除」の英語表記の違い
「排除」は英語で、removal; exclusion; abatement; eliminationです。
「障害物を排除する」は、get rid of [【形式ばった表現】 remove] obstacles
「人種差別を排除する」は、rid of segregation
「排除措置」は、Cease and Desist Order
「排除命令例」は、Cease and desist orderなどとなります。
「廃除」は英語で、disinherit、disown、abolish、get rid ofです。
「推定相続人の廃除」は、Disinheritance of Presumed Heir
「遺言による推定相続人の廃除」は、Disinheritance of Presumed Heir by Willなどとなります。
「排除」の意味
「おしのける」といった意味の「排」と「よける」といった意味の「除」が組み合わさり成り立つ「排除」。
漢字の意味からもわかるように、おしのけて、その場から取り除くことを意味する言葉となります。
簡単に言えば、自分が邪魔だと思うものや人を自分の目の前から取り除くことを意味し、「排除」の対象となるものは、どんなものでも対象です。
例えば、不用だと思うゴミや古くなった家財道具。
また、自分の邪魔をする人、自分が気に入らない人に対しても、「排除」という言葉を用いて、その場から取り除くことを意味します。
「排除」の使い方
日常的によく用いられる事が多い「排除」は、様々な使い方があります。
何かを「排除する」、「排除される」といった使い方をはじめ、「排除」することを命令する「排除命令」や「排除措置命令」。
「排除」することができる機器を意味する「排除装置」や「排除システム」。
そのほか、「排除方法」などもあります。
「排除」を使った例文
・『自分の邪魔をしそうな人は事前に排除しておきたいものです。』
・『田舎の集落には、いまだによそ者を排除しようとする人が多いため、移住しにくい実態があります。』
・『世の中、なんでも排除すれば良いというわけではありません。』
・『ご近所の家の前にあるゴミを排除してほしいと市役所にお願いしました。』
「排除」の類語
「排除」の類語は、削除する、取り除く行為を意味する「除却」、「排出」、「除去」、「淘汰」。
除外されることを意味する「圧排」、「除外」、「排他」。
対象としないことを意味する「除外」、「排除」、「閉め出し」、「切り捨て」、「オミット」などがあります。
「排除」の対義語
「排除」に明確な対義語はありませんが、しいて挙げるなら、受け入れる、取り込む、といった意味の「受容」。
また、「受け入れる」、「迎え入れる」などが対義語にあたります。
「廃除」の意味
「やめる」といった意味の「廃」と「よける」といった意味の「除」が組み合わさり成り立つ「廃除」。
漢字の意味からもわかるように、やめて取り除くといった意味となります。
この意味から、法律用語では、「相続人の廃除」として用いられることが多く、被相続人が相続人に対し、その権利を除外するといった際に用いられています。
「廃除」の使い方
「廃除」は、法律用語となるため、一定の使い方しかありません。
基本的に「廃除」を用いた言葉としては、「相続人の廃除」、「相続廃除」、「推定相続人の廃除」といったように、相続人から省かれる、相続人としての権利を失うといった意味で用いられる場合のみの使い方となります。
「廃除」を使った例文
・『まさか、自分が父親から相続人から廃除されるとは思ってもいませんでした。』
・『息子の素行が悪いため、弁護士と相談し、相続人の廃除手続きを申請することにしました。』
・『相続人の廃除は、遺言でも可能です。』
・『相続人の廃除は、家庭裁判所への申立てが必要となります。』
「廃除」の類語
法律用語となり、一般的に用いられる言葉とは異なるため明確な類語がない「廃除」。
そのため、廃止する、といった意味での類語として考えた場合、「撤廃」、「廃止」、「無くす」、「無効にする」などが「廃除」の類語にあたります。
「廃除」の対義語
「廃除」には、明確な対義語はありません。
まとめ
以上が「排除」と「廃除」の違いです。
日常的に使用することとなる「排除」に比べ、なかには、一生暮らしていても目にすることが一度もないかもしれない「廃除」。
法律用語となる「廃除」は、使用される範囲も相続人ん対するものに限られるため、法律関係の仕事に就くか、何か理由があり、相続人の「廃除」を行う場合しか使用する機会はありません。
そのため、さほど、深く考えず、日常生活においては、一般的に何かを取り除く。
その何かがものだけではなく、人も対象となる「排除」を使用すれば特に問題はありません。