「罵倒」と「罵声」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「罵倒」と「罵声」の違い生活・教育

この記事では、「罵倒」「罵声」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「罵倒」と「罵声」の違い

ののしる行為を示すのか、それとも、ののしる声を示すのかといった違いがある「罵倒」「罵声」

「罵」には、ののしる、といった意味があり、そのことから、「罵倒」は、ののしること、しかも、激しくののしること、といった意味があります。

漢字から見れば、相手が「倒れる」まで、傷みつける、ののしること、と言えます。

そして、「声」という漢字が付く「罵声」は、そんな、ののしる行為を声に出して言うこと、また、ののしる声を意味しています。

同じ、ののしることでも、その行為自体を示しているのか、それとも、ののしる声を示しているのか、そんな違いがあります。


「罵倒」と「罵声」の使い方の違い

言動すべてを示しているのか、声のみを示しているのか、といった違いで必要となる「罵倒」「罵声」の使い方ですが、「罵倒」は、ののしる言動すべてを意味するため、「罵倒の手紙」「罵倒される」「罵倒する」といったように、ののしっている手紙、ののしられている行為、ののしる、といったことを示す使い方となります。

一方、「罵声」の場合、ののしる声のみを意味するため、「罵声を浴びせる」「罵声が飛び交う」といったように、ののしっている声に対した使い方となります。

「罵声」の場合、ののしっている声に対する言葉となるため、「罵声する」とは使わず、以上のように「罵声を浴びせる」といったような形で用いられることになります。


「罵倒」と「罵声」の英語表記の違い

「罵倒」の英語表記は、abuse、clapperclaw、shout、blackguardです。

「罵倒する」は、abuse/revile/rail 《against》/hurl abuse [invective] 《at》/let go a stream of blue language
「罵倒の手紙」は、an abusive letter
「罵倒されること」は、to be improperly usedとなります。

「罵声」の英語表記は、jeersです。

「罵声を浴びせる」は、hiss [boo, jeer at] 《the speaker》.
「罵声が飛び交った」は、Booing and jeering of scorn flew back and forth. / The air was filled with booing and jeering of scorn. となります。

「罵倒」の意味

相手を非常に激しくののしる、といった意味を持つ「罵倒」

ののしる、といった意味を持つ「罵」と倒れるだけではなく、激しい、といった意味も持つ「倒」と一緒となり、「罵倒」という文字が完成しています。

「罵倒」の使い方

「罵倒」を使った言葉には、相手を「罵倒する」

相手に「罵倒される」といった使い方があります。

「罵倒」を使った例文

・『夫は、少しでも気に入らないことがあれば、場所も選ばず、どこでも罵倒する癖があります。』

・『お客の前で、バイトに罵倒する社員は、どうかと思います。非常に不愉快です。』

・『罵倒すると注意するは、受け取る相手によっても異なり難しい点が多いと思います。』

・『人前でも平気で人を罵倒する人は、その人自体に問題があると私は考えます。』

「罵倒」の類語

「罵倒」の類語には、人のことを悪く言う意味の「悪口」があります。

簡単に言えば、大声などで悪口をいうことが、「罵倒」なのです。

また、「誹謗」「罵倒」の類語となります。

「誹謗」も、同じ意味として考えることができます。

そのほか、「恥辱」「痛罵」なども類語として考えることができます。

「罵倒」の対義語

「罵倒」の対義語には、「称賛」「嘆賞」があります。

「称賛」には、相手を褒める、たたえる、といった意味があります。

「嘆賞」には、感心したうえで、褒めるといった意味があり、芸術作品を褒める際に用いられる言葉です。

「罵声」の意味

相手をののしる声、しかも、大声で、汚い言葉を使いののしる声、悪口を怒鳴って言う声、といった意味を持つ「罵声」

ののしる、といった意味を持つ「罵」「声」が組み合わさり完成している「罵声」

そのため、「罵声」の場合は、単にののしるだけではなく、声を伴うものとなります。

「罵声」の使い方

「罵声」を使った言葉には、相手に「罵声を浴びせる」、相手から「罵声を浴びせられた」

自分の前で「罵声が飛び交う」などといった使い方があります。

「罵声」の場合、「罵声」のあとには、「罵声」に対する行動が示され、「罵声する」といったような使い方は行われません。

「罵声」を使った例文

・『夜の道端で、急に見知らぬ男性に罵声を浴びせられ怖くて仕方がありませんでした。』

・『夜中に家の近所で罵声が飛び交っていたため、怖くて窓を開けることもできませんでした。』

・『父は、プロ野球中継をテレビで見ながら、いつもビール片手に罵声を浴びせている。』

・『つい、かっとなってしまい、妻に罵声を浴びせてしまいました。反省しています。』

「罵声」の類語

「罵声」の類語には、奇妙な声、変な声、を意味する「奇声」やののしる、騒ぐ声、といった意味の「怒号」などがあります。

そのほか、「罵声を浴びせられる」の類語としては、「名誉を傷つけられる」「人格を攻撃される」などが挙げられます。

「罵声」の対義語

「罵声」の対義語として、「誉め言葉」 褒めたたえる言葉を意味する「賛辞」

喜びを声に出して表現する「歓声」などが挙げられます。

まとめ

以上が、「罵倒」「罵声」の違いです。

「罵倒」は、ののしる行為のみを示す一方、「罵声」は、ののしる際の声、言葉を示すといった違いがあります。

また、「罵倒」のあとに付ける言葉や「罵声」のあとに付ける言葉に違いがあり、「罵倒する」といった使い方は可能な一方、「罵声する」といった使い方を行うことはできません。

その点にも十分に注意し、使い分けることが大切です。