この記事では、「配慮」と「考慮」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「配慮」と「考慮」の違い
「配慮」とは、気をくばることです。
「考慮」とは、いろいろの要素を含めて物事を考えることです。
「配慮」と「考慮」では、気づかうことなのか、考えることなのかという点で意味が違います。
気を配るには、注意を払うことの意味があり、「配慮」は、深く気づかうことといえます。
考えるには、あれこれと頭を働かせる意味があります。
「考慮」は、物事をいろいろな要素を含めてあれこれ頭を働かせる、思いめぐらすといえます。
たとえば、野球の試合で3日も続けて登板するのは、体力的にも精神的にも負担になることでしょう。
そういったことをあれこれ気にかけることが「配慮」です。
3日も続けて登板するのはつらいので休ませてほしいと、選手から監督に申し出がありました。
選手を休ませるかどうか、監督は選手の体力のこと、相手チームの出場選手のこと、自分のチームの他の選手のことなど、あれこれ考えてみました。
このように、さまざまな要素を含めて考えることが「考慮」です。
「配慮」と「考慮」の使い方の違い
気を配ることに「配慮」を使用します。
「子どもに配慮した対応」のような使い方です。
物事のいろいろの要素を含めて考えることに「考慮」を使用します。
「相手の事情を考慮して決定する」のような使い方です。
「配慮」と「考慮」の英語表記の違い
「配慮」は英語で“concern”や“consideration”と表現をします。
「考慮」は英語で“consideration”と表現をします。
「配慮」の意味
「配慮」には、気を配ることという意味があります。
気には意識という意味があり、配るには注意などを行き届かせるという意味があります。
つまり、「配慮」は意識を行き届かせる、さまざまな注意を払うという意味になります。
人によっては、早口で話しかけられると、話していることをうまく理解できないことがあります。
そのような人に早口で話しかけるのは、「配慮」が足りないといえます。
反対にゆっくり話すように注意をすることは「配慮」をしているといえます。
蛍が見られるという場所があります。
しかし、その場所はヒルがでることがあり、また夜は足元が見えにくいため、川に落ちる心配もあります。
そして、人が訪れることで自然の破壊が進む、ゴミが出るなどの心配もあります。
こういった危険や心配などに注意を払うことも「配慮」といえ、「周辺環境に配慮する」ということができます。
「配慮」の使い方
気を配ることに使用をします。
浅い考えではなく、深く考えて気を配ることです。
「配慮」には、相手にとってよいだろうという意味は含まれていません。
「配慮」を使った例文
・『もう少し配慮をして欲しかった』
・『換気に配慮をする』
・『猫の健康を守るために配慮すべきこととは』
・『さりげない配慮に感謝しています』
・『長時間の外での部活は熱中症の危険があるため、配慮が必要だ』
「配慮」の類語
「心配り」「心遣い」が類語です。
「心配り」には、相手によいようにとあれこれ気をつかうことという意味があり、「心遣い」には「心配り」と同じ意味があります。
「配慮」の対義語
「配慮に欠ける」や「無遠慮」が対義語です。
「無遠慮」には、好きなように振る舞うという意味があり、あれこれ気を配っていないといえます。
「考慮」の意味
「考慮」とは、いろいろな要素を含めて物事を考えることです。
要素には、物事を成立させている条件や内容という意味があります。
つまり、「考慮」はいろいろな条件や内容を含めて物事を考えることといえます。
ある企画のリーダーを決めることになりました。
決めるに際して、選定者が候補者のことを適切かと判断するだけでなく、リーダーの候補となる人の希望も聞くことにしました。
このことは、いろいろな内容を含めてリーダーを選んでいるといえ、「考慮」になります。
「相手の希望を考慮する」のような言い方ができます。
「考慮」の使い方
いろいろな要素を含めて考えることに使用をします。
一つのことだけを考える場合にも、複数のことを含めて考える場合にも使用可能です。
「考慮」を使った例文
・『体力を考慮して選手を選抜する』
・『配達員の数を考慮して出荷する』
・『食事時間を考慮に入れてスケジュールを立てる』
・『去年の売り上げを考慮して、生産数を決める』
・『大雨を考慮した設計』
「考慮」の類語
「考察」が類語です。
物事を明らかにするために、よく調べて考えるという意味があります。
「考慮」の対義語
ぴったりな対義語はありませんが、結果を考えていない意味で「無謀」が対義語です。
まとめ
どちらの言葉にも「慮」という漢字が使われていますが、「配慮」は気を配ること、「考慮」はよく考えることで、意味の違う言葉です。