ある事実を他人に話すときに少し大げさに言ってしまったという経験は無いでしょうか。
そのような場面を表す言葉で「脚色」と「誇張」と「誇大」というものがあります。
同じような意味合いとして思われがちなこれらの言葉ですが、果たして違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「脚色」と「誇張」と「誇大」の違いを分かりやすく説明していきます。
「脚色」【きゃくしょく】とは?
「脚色」とは、ある事実を面白く他人に伝えるために、自分なりに少し手を加えて伝えることを意味します。
ある事実全体を対象とした言葉です。
映画や舞台やドラマといったお芝居の世界で「脚本」というものがありますが、それは「脚色した台本」ということです。
ですが、もともとの事実やお芝居のお話の原型がなくなってしまうほど手を加えてしまうことは「脚色」とは呼べず、あくまで少し面白みをプラスする程度に限ります。
「脚色」の例文
・『原作に脚色を加えすぎて監督に怒られた』
・『脚色が多い話は信用できない』
「誇張」【こちょう】とは?
「誇張」とは、ある事実を大げさに表現することを意味します。
「脚色」の対象が話全体にあるのに対して、「誇張」は話全体の中の一部分に対して使われるような言葉です。
例えば、話の中の一部分に出てきたものの大きさを実際よりも大きく伝えることが「誇張」です。
ですから「脚色」をするための一つの方法が「誇張」と言えます。
「誇張」の例文
・『実際聞いていたよりも小さかった、誇張した話に騙された』
・『誇張しすぎて話のつじつまが合わなくなった』
「誇大」【こだい】とは?
「誇大」とは、ある事実を大げさに表現することを意味します。
「脚色」や「誇張」する目的として相手に面白く思ってもらいたいという傾向にあるのに対して、「誇大」とは相手によい印象を持ってもらいたいために大げさに表現することです。
例えば会社の売り上げを実際よりも多く伝えたり、薬の効果効能を実際よりもよく伝えたりすることが「誇大」です。
誇大広告という言葉がありますが、これは商品やサービスの長所を大げさに言っている広告を指します。
「誇大」の例文
・『誇大広告は消費者を惑わせる広告である』
・『誇大に会社の売り上げを言いふらすのはやめてください』
「脚色」と「誇張」と「誇大」の違い
「脚色」と「誇張」と「誇大」の違いについて簡単にまとめると次のように説明できます。
「脚色」とは、「話全体を面白おかしくするために自分なりに手を加えること」を指しています。
「誇張」とは、「話の一部分を大げさに伝えること」を意味しています。
「誇大」とは、「相手によい印象を持ってもらうために大げさに伝えること」を意味した言葉です。
まとめ
「脚色」と「誇張」と「誇大」の違いについて説明してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
話全体のことなのか一部分のことなのかの違い、また目的の違いなどもありました。
話の中に「脚色」「誇張」「誇大」を加えすぎると相手の信用を損ねてしまう恐れがあるので、使い過ぎには注意したいものです。