この記事では、「紀律」と「規律」と「秩序」の違いを分かりやすく説明していきます。
似ている熟語を、正しく学んでいきましょう。
「紀律」とは?
紀律(きりつ)とは、人としてあるべき定めのこと。
トップが定めた、従わなくてはいけない掟をあらわします。
おもに中国で使われている表現で、日本ではあまり馴染みの少ない熟語になります。
もともと紀律の「紀」には「道理にかなう」という意味があります。
国家としてあるべき姿に持っていくために、個人それぞれが取るべき言動や態度を定めたものが紀律になります。
整った社会にするための制度が紀律です。
「規律」とは?
規律(きりつ)とは、守るべきルールのこと。
清く正しい生活をおこなうために、定められた決まりをあらわします。
もともと「規律」の「規」は「お手本」という意味があります。
穏やかな生活を送るために、参考にしたいお手本が規律です。
規律は学校やスポーツチームなど、多くの人が共同で生活し練習を重ねる場で用いられています。
自分勝手なおこないで風紀を乱さないように、あらかじめ作られた掟を規律といいます。
まとまりある集団にするために、個人が守るべきルールが規律です。
「秩序」とは
秩序(ちつじょ)とは、正しい筋道のこと。
乱れがなくまとまりのある世の中にするために、踏むべき順序をあらわします。
日常が安らかで平和であるように、それぞれが意識して整えていくものが秩序です。
秩序は「秩と序」という2つの漢字が組み合わさっています。
「秩」には「少しずつ積み上げていく」という意味があります。
そして「序」には「並べていく」という訳があります。
そのため現状をよく見て、正しい手順を踏んでいくことを秩序といいます。
論理的に話すことも「秩序立てて説明する」といいます。
穏やかな治安から、正しい道筋まで色々な意味がある熟語です。
「紀律」と「規律」と「秩序」の違い
いずれも似ているので、使い分けに迷います。
まず「紀律」と「規律」は、辞書では同じ用語として扱われています。
そのためどちらも「守るべきルール」という意味があります。
ただ日本のテレビや新聞では「紀律」を使わず「規律」を好んで使っています。
紀律という漢字は、おもに明治維新の時代に使われていたもので、現在あまり見かけることはありません。
また規律と秩序の違いですが、規律が「集団の一員として守るべきルール」に対して、秩序は「順序立てて踏んでいくステップ」という意味があります。
規律は学生寮など集団生活で用いられるのに対して、秩序は国際平和を考えるフォーラムで「治安」と同じ意味合いで使われています。
そのためより広い視点でとらえたものは「秩序」です。
まとめ
「紀律」と「規律」と「秩序」の違いを分かりやすくお伝えしました。
紀律は戦前に使われた用語で、現在は同じ意味をもつ「規律」が使われています。
秩序は「筋道を立てる」という意味があり、世界平和と同じような意味合いもあります。
言葉の深さを味わっていきましょう。