「霊」を使った言葉はいくつかありますが、「怨霊」・「幽霊」・「亡霊」は漫画や映画にもよく出てくる身近な言葉です。
言葉のイメージが似ていて混同しがちですが、どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、「怨霊」・「幽霊」・「亡霊」の違いを分かりやすく説明していきます。
「怨霊」とは?
「おんりょう」と読みます。
生前ひどい目にあい、恨みをいだいたまま亡くなり、死後生きている人に祟る(たたる)霊を意味します。
生霊(生きている人の霊)を含む場合もあります。
「怨霊」の例文
「怨霊」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『平安時代、藤原氏は菅原道真の「怨霊」をとても恐れていた』
「幽霊」とは?
「ゆうれい」と読みます。
亡くなった人が生きていたときの世に未練や恨みを残しており、ただよったり、さまよったりしている魂や霊のことです。
化け物やおばけと言われることもあります。
「幽霊」は実体がなく見える人と見えない人がいます。
意味が転じて、実際には存在していないのに存在しているように見せる行為を表現するときがあります。
「幽霊」の例文
「幽霊」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『あの学校には「幽霊」が出るらしい』
・『クラブの成立には最低四人の部員が必要だが、実際には二人で残りは「幽霊」部員だ』
・『ホームページに記載のあった会社は、実際には存在しない「幽霊」会社であることが発覚した』
「亡霊」とは?
「ぼうれい」と読みます。
死んだ人の魂や霊のことですが、亡くなったあとに、生きていたときの姿のまま突然あらわれる様子をあらわしています。
そこから意味が転じて、かつては存在したが現在は亡くなった(滅んだ)はずであるにもかかわらず、いまだ影響や気配を残しているものを例えるときに使います。
「亡霊」の例文
「亡霊」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・目上の人に絶対服従を誓わせるやり方がまだ消えないのは、軍国主義の「亡霊」といえる。
「怨霊」と「幽霊」と「亡霊」の違い
それでは「怨霊」と「幽霊」と「亡霊」の違いを、改めて整理してみましょう。
「怨霊」は「祟る(たたる)」霊です。
生前うけた仕打ちに強い恨みをもっています。
生きている人やこの世に禍(わざわい)をもたらす霊で、最も恐れられてきた「幽霊」といえるでしょう。
「幽霊」は「未練のため成仏できずにいる霊」を意味します。
成仏できない霊の総称であり、「怨霊」も含みます。
必ずしも恨みをいだいているとは限らず、禍をおこさない場合もあります。
「亡霊」は死んだ人や失われた過去が、生前の姿のまま突然現れる様子を表している言葉です。
まとめ
この記事では「怨霊」・「幽霊」・「亡霊」の違いをみてきました。
いずれもネガティブで不気味な雰囲気をもつ言葉ですが、祟ったり、生前のまま姿を現したり、霊の未練の表し方が言葉によって異なります。
違い正しく理解して使いわけを間違えないようにしてください。