「防音」と「吸音」と「遮音」の違いとは?分かりやすく解釈

「防音」と「吸音」と「遮音」の違い生活・教育

音の対策として使われる表現に「防音」「吸音」「遮音」があります。

これらの言葉には具体的にどのような意味の違いがあるのでしょうか。

今回は、「防音」「吸音」「遮音」の違いについて解説します。

「防音」とは?

「防音」とは、「余計な音を防ぐこと」を意味する言葉です。

「防音」という言葉は直接的な手段や方法を指す言葉ではなく音を防ぐこと全般を意味します。

室内の音が外に漏れるのを防いだり騒音が周囲に響かないよう対策したりなど、届いてほしくない場所に音が届いてしまうのを防ぐ作業やそのための方法全てを総称して「防音」と表現します。

音とひとくちにいっても波長や響き方などさまざまな種類があります。

それぞれの音にあわせて最適な方法で対策する作業が「防音」であり、快適な生活や人の健康を守るために重要な役割を担っています。


「防音」の例文

・『ピアノを設置する前に防音をしっかりしておかないとトラブルになりかねない』
・『高速道路に設置されている高い壁は安全対策と同時に防音の役割も兼ねている』


「吸音」とは?

「吸音」とは、「音を吸収し抑えること」を意味する言葉です。

素材の特性や形状を利用し届いてきた音を素材自体が吸収してそれ以上鳴り響かないようにする仕組みのことを「吸音」と表現します。

文字通り音の波を物理的に吸収することで音漏れや反響を防ぐためのシステムであり騒音防止以外にも録音スタジオで反響を防ぐために用いられるなど主に室内空間での余計な音対策として用いられています。

吸音に用いられるのはスポンジのように細かい穴がたくさんあいた専用素材です。

穴から音の響きを吸収し内部で拡散させることで外へ響くことを防ぎます。

専用の素材以外にも音を吸収する素材はたくさんあります。

素材が持つ音を吸収する性能のことを「吸音性」と表現します。

「吸音」の例文

・『吸音が施された室内では反響が起こらない』
・『吸音した音は素材内部で聞こえないほどの大きさにまで拡散されて失われる仕組みである』

「遮音」とは

「遮音」とは、「音をさえぎって防ぐこと」を意味する言葉です。

何かと何かの間に壁や仕切りを設けて関わりを断つことを「さえぎる」といいます。

「遮音」とは「音の発生源と到達地点との間に壁や仕切りを設けて到達を防止すること」であり物理的な障壁により音を防ぐ仕組みを指します。

騒音が発生すると耳をふさいで音を小さくしようとしますが、手で耳をふさぐという行為も音の発生源と耳の間に隔たりをつくる「遮音」の一種です。

「遮音」には様々な素材や手法が用いられます。

壁で音を防ぐのは一般的な方法ですがさらに音をさえぎるためにコンクリートや鉄板など音の波を伝えにくい素材が使われます。

基本的には密度が高く重い素材ほど「遮音」する能力には優れ、木や紙など軽くて薄い素材ほど「遮音」する能力は低くなります。

「遮音」の例文

・『車の騒音は二重ガラスで遮音されている』
・『遮音されていない部屋での楽器演奏は迷惑である』

「防音」と「吸音」と「遮音」の違い

「防音」は音を防ぐことやその仕組み全般を指す言葉です。

「吸音」「遮音」「防音」のための具体的な手段を指しています。

素材が音を吸収して防ぐのが「吸音」、素材が音を通さないで防ぐのが「遮音」という違いで区別されます。

「吸音」「遮音」「防音」の一種であり一般的にはまず「遮音」による対策がとられ、さらなる対策として「吸音」が用いられます。

まとめ

同じ音を防ぐことを意味する言葉でも「防音」「吸音」「遮音」ではそれぞれ意味合いが異なります。

騒音対策を考えるならそれぞれの違いと特徴を正確に理解しておきましょう。