「専念する」と「集中する」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「専念する」と「集中する」の違い生活・教育

この記事では、「専念する」「集中する」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「専念する」と「集中する」の違い

「専念する」とは、一つのことに心を傾けること。

そのことばかりで他のことを忘れてしまうことです。

「集中する」とは、一か所にまとめること、またまとまることです。

2つの言葉の意味はほぼ同じです。

ガスコンロにこびりついた頑固な汚れを落とそうと掃除しているとき、汚れを落とすことだけを考えています。

ちょっとやそっとこすっただけでは落ちない汚れを落とすには、そこに意識を傾けなければならないのです。

「今日の夕飯はどうしよう」「あとで録画しておいたドラマをみなくちゃ」など、他のことは頭に浮かんできません。

この状態は「掃除に専念する」「掃除に集中する」ということができます。

掃除に心を傾けること、掃除することに意識を集めていること、といった意味になります。

しかし、「専念する」「集中する」がまったく同じことを指しているのではありません。

「質問が集中する」とはいいますが、「質問が専念する」とはいいません。

「集中する」は一つのところに、まとまる、まとめるという意味を持っています。

「質問が集中する」というと、ある人のところに質問が集まって来るという意味になります。

「専念する」は心を傾けることです。

質問が心を傾けるでは意味がわかりません。

このように、似ている意味を持っていますが、ニュアンスが異なります。


「専念する」と「集中する」の使い方の違い

前者の言葉は、ある一つの物事に意識を集めること、心を傾けることに使用をします。

後者の言葉は、一つの場所にまとまること、まとめることに使用をします。

物質にも非物質にも使用できます。


「専念する」と「集中する」の英語表記の違い

「専念する」は英語で“devote oneself to”と表現をします。

「集中する」は英語で“concentrate”と表現をします。

「専念する」の意味

「専念する」とは、一つのことに心をよせること。

一つのことに心を打ち込むことです。

ガンのような大きな病気をしたことで考えてみます。

治らないわけではありませんが、ガンは不治の病だと考えている人がいるようです。

それだけ、治療が難しい病といえるでしょう。

大きな病気をしたときには、それを治そうと必死になるはずです。

まだこの世で生活をしていたいなら、病気を治さなければなりません。

そこで、病気を治すことにだけに心をよせて生活するようになります。

ガンの場合なら、抗がん剤治療や放射線治療を受けるなどするでしょう。

こういったことをするために、入院が必要になる場合があります。

体のことが大事なので、掃除・洗濯・食事の準備などは人にやってもらい、自分の体をいたわります。

また、治療に心を傾けているときは、他のことをする余裕はないでしょう。

このように、一つのことだけに全精力を注ぐことを意味しています。

この例の場合だと、一つのことが病気の治療にあたります。

「専念する」の使い方

物事に対して使うことが多い言葉です。

全精力を注ぐことについて使用します。

たとえば、研究、病気の治療、仕事、スポーツの練習などです。

いくつものことに心を向けることではなく、一つのことだけです。

いくつものことに心が向いている状態ではありません。

「専念する」を使った例文

・『ケガの治療に専念する』
・『子育てに専念してもらうために、動物を別の部屋に移動させる』
・『宇宙飛行士になるための訓練に専念する』
・『専念するための環境を整える』

「専念する」の類語

「打ち込む」は、すべての精神の活動を注ぐことです。

「没頭」は、あることに夢中になることです。

治療には使用しません。

「専心」は、ある事柄に心を傾けることです。

「専念する」の対義語

「散漫」が対義語です。

一つの事柄に意識を向けられていない状態という意味があります。

「集中する」の意味

「集中する」とは、一つのところにまとまること、一つのところにまとめることです。

受験勉強をしている学生は、そのことだけを考えていることでしょう。

勉強以外のこと、たとえばゲーム、漫画、テレビなどのことは、考えている暇がないと思います。

「ゲームをしたいな」「漫画を読みたいな」など考えることがたまにあっても、実際にやることは少ないはずです。

このとき、勉強という事柄だけに意識が集まっています。

この、集まること、集めることを意味しています。

犬がご飯を食べるときも、このような状態になっています。

犬のご飯の時間になると「早くくれ」と催促するような行動を見せたり、目をキラキラ輝かせて食べるのが楽しみな様子を見せたりします。

ご飯を目の前に出すと、もう飼い主のことなんて見ていないし、声をかけても反応してくれません。

意識は目の前のご飯にだけ注がれています。

この状態が「集中する」です。

「集中する」の使い方

あるひとつのところに集まること、集めることに使用をします。

心の働きを一つに集めるという意味で使用されることが多いです。

たとえば、「受験勉強に集中する」といったものです。

心の働きを勉強に集めています。

心の働き以外にも使用できます。

「生え際に白髪が集中するように生える」といったものです。

白髪がある場所にだけ集まっています。

これは物質があるところに集まるという意味です。

「集中する」を使った例文

・『運転に集中する』
・『集中するから、話しかけてこないで』
・『10分休憩しただけで、集中することができるようになった』
・『集中するための静かな環境が欲しい』

「集中する」の類語

「密集」が類語です。

すきまがないほどぎっしりと集まるという意味があります。

「集中する」の対義語

「散漫」が対義語です。

ばらばらになって広がるという意味があります。

まとめ

同じ事柄に使用することがあり、その場合は同じような意味で使われています。

しかし、同じ事柄に使用できないこともあります。

つまり、まったく同じ意味を持っているわけではないのです。

それぞれの言葉の意味合が異なります。