日本画に関する言葉はとても多く存在します。
今回はよく使われその中でも混同しがちな3つの単語についてご紹介します。
この記事では「浮世絵」と「版画」と「錦絵」の違いを分かりやすく説明していきます。
「浮世絵」とは
これは『江戸時代に隆盛を極めた遊里や遊女、俳優などを描いた絵』です。
江戸時代は様々な大衆文化が発達し、庶民層もそれを楽しむという余裕が生まれた時代でもありました。
少し昔のタレントやアイドルのポラロイド写真、今で言うならインスタグラムやFacebookでの投稿写真の様な楽しみ方をしていたといっても間違いありません。
『浮世絵』には大きく肉筆画という直接絵師が書くものと木版画という『版画技術』を応用したものが存在していました。
有名な作家では葛飾北斎が世界的に有名であり、洋風画などの様々な画法のエッセンスを取り込んで新しい境地を開拓しました。
彼の『富岳三十六景』は世界的に有名であり、ヨーロッパの洋画にも大きな影響を与えており、今もメディアで出ることがある日本が誇る代表作になっています。
「版画」とは
これは『版というインキを紙面に移す仲立ちになるものを使って刷った絵の総称』を指す言葉です。
木版画に端を発し銅版画や今の印刷の基礎にもなった凸版や凹版、平版などの技術が発達しました。
特に木版画や銅版画は美術の授業で触れたことがある方も多いのではないでしょうか。
『版画』が日本にもたらされたのは飛鳥時代までさかのぼり、もともとは僧達による経典や書物、武士や貴族などが記録や兵法書などを複写することを目的としていました。
ここから江戸時代の大衆文化の隆盛とともに美術の技法としての発達を遂げています。
今でも『版画』は一つの美術のジャンルとして確固たる地位を築いています。
「錦絵」とは
一言で表現すると『多色刷りという三色以上をつかった浮世絵版画』です。
つまり、『浮世絵』を作製する上での一つの技法が『錦絵』なのです。
もともとは菱川師宣という肉筆画を作製していた人物が版画を使い始めており、そこから鈴木春信が多色刷りという技術を確立、一気に広がった。
ここから葛飾北斎や『東海道五十三次』で有名な歌川広重などの人物が人気となり、江戸時代の庶民を楽しませた。
肉筆画は一点ものなのに対して、錦絵はいわゆる印刷技術を応用したものの為、庶民に広くそして安価に楽しんでもらえることも人気になった原因と言われています。
「浮世絵」と「版画」と「錦絵」の違い
それぞれ『江戸時代に発展した風俗などを描いた絵』、『絵画技法の種類』、『浮世絵の種類』と違いをつけることができます。
『浮世絵』と『錦絵』は同じ日本の文化としてグループ分けすることができますが、『版画』は西洋でも発達している技法です。
また、『版画』と『錦絵』は同じ芸術作品のテクニックであるのに対して『浮世絵』は絵画のジャンルということもできます。
まとめ
如何でしたでしょうか。
『版画』は授業などでイメージが湧きやすいですが、『浮世絵』と『錦絵』に違いがあるというのは意外ではなかったでしょうか。
日本画にはほかにもさまざまな手法がありますので、是非この機会に調べてみるのも面白いかもしれません。