この記事では、「考察」と「推察」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「考察」と「推察」の違い
「考察」とは、物事を明らかにするために、よく調べて考えることです。
「推察」とは、他人の事情や気持ちを思いやること、推し量ることです。
「考察」の場合は、物事を明らかにする意味があり、「推察」の場合は他人を思いやる意味がある点が違います。
「考察」の物事を明らかにする意味には、他人を思いやる意味は含まれていません。
また「考察」はよく調べて考えることですが、「推察」は見当をつけること、だいたいの予想をつけることです。
この点にも違いがあります。
日本には、日本茶というものがあります。
日本茶は特定のお茶を指しているのではなく、日本のお茶という意味ですが、多くの場合緑茶を指しています。
日本では古くから日本茶が飲まれてきましたが、現在ではカフェを街中で見ることが多く、コーヒーを飲む人が少なくありません。
なぜ日本茶ではなくコーヒーが広まっているのか、資料をいろいろ読んだり、専門家の話しを聞いたりして、調べて考えてみることは「考察」といえます。
普段は日本茶を飲んでいる人が、今日に限ってコーヒーを飲んでいます。
眠気を覚ましたいのかもしれない、疲れているのかもしれないなど、相手の状況などから見当をつけてみました。
こういったことが「推察」です。
「考察」と「推察」の使い方の違い
よく調べて考えることに「考察」を使用します。
物事を明らかにする目的の意味が含まれています。
他人の事情や気持ちなどを思いやることや、推し量ることに「推察」を使用します。
調べるという意味は含まれておらず、物事ではなく人について使うことが多い言葉です。
「考察」と「推察」の英語表記の違い
「考察」は英語で“consideration ”や“inquiry”と表現をします。
「推察」は英語で“guess”や“surmise”と表現をします。
「考察」の意味
「考察」とは、物事を明らかにするためによく調べて考えることです。
「明らか」には、はっきりしていて疑うことがないという意味があります。
はっきりさせるためには、よく調べる必要があります。
調べもせずにこうに違いないと考えることは、はっきりしたことではなく、だいたいの予想です。
ある商品の売り上げが、前月に比べて今月は急激に伸びています。
なぜ売り上げがよくなったのか、季節の影響、イベント、SNSでの発言などいろいろ調べて考えてみました。
こういったことが「考察」です。
「考察」の使い方
よく調べて考えて明らかにすることに使用をします。
よく調べもしないものは「考察」とはいえません。
「考察」を使った例文
・『会社の問題点を考察する』
・『映画のあのシーンを考察する』
・『考察によって導き出された』
・『上司と部下の考えの違いは考察する必要があるだろう』
・『まだまだ考察が必要だろう』
「考察」の類語
「考慮」「勘案」が類語です。
「考慮」には、いろいろな要素を含めて物事を考えるという意味があります。
「勘案」は「考慮」と同じような意味ですが、「考慮」は一つの物事を考えることにも、複数のものを考え合わせることにも使用し、「勘案」は複数の物事を考え合わせることにだけ使用します。
「考察」の対義語
「憶測」が対義語です。
自分で勝手に推測することです。
「推察」の意味
「推察」には、他人の事情や気持ちを思いやること、推し量ることという意味があります。
「推し量る」とは、似ているような事実を当てはめてみて、見当をつけるとことです。
他人の気持ちを思いやるとき、多くの場合、似たような場面を考えて見当をつけています。
たとえば、失恋をして泣いている人がいました。
失恋をしたことがある人なら、悲しいのだろう、衝撃が大きかったのだろうなど、意識的にではなくても、自分のことを当てはめて考えているはずです。
なぜ泣いているのか相手に聞いてはっきりさせることは「推察」ではありません。
相手の立場や状況などから、こうであろうと考えてみることが「推察」です。
「推察」の使い方
他人の事情や気持ちを思いやることに使用をします。
調べてはっきりさせることではなく、似たような状況を当てはめて、だいたいの予想をつけることです。
「推察」を使った例文
・『声をかけると犬が吠えるのは、コミュニケーションがとれているからだと推察する』
・『態度に違和感があったのは、体調不良ではないかと推察する』
・『その推察はいい迷惑です』
・『厳しい状況だったのはないかと推察する』
・『私の推察はこうです』
「推察」の類語
「推測」が類語です。
ある事柄をもとにして推し量ることという意味があります。
「推察」の対義語
「推察」ははっきりとしたものではありません。
その意味の対義語として「確定」です。
まとめ
よく調べているのか、見当をつけているのかという点で違いがある言葉です。