この記事では、「嘱託」と「委嘱」と「委任」の違いを分かりやすく説明していきます。
「嘱託」とは?
「嘱託(しょくたく)」とは、「ある仕事・行為などをしてくれるように依頼して任せること」を意味しています。
「嘱託」という言葉には、「正規雇用の身分で雇っているのではなく、特定業務の経験・ノウハウを活かして働いてもらうために有期契約で雇った非正規雇用やその人」の意味合いもあります。
また「嘱託社員」の言い回しは、「定年退職したシルバー人材のキャリア・知識・経験を評価して有期契約・非正規で再任用することおよびその雇われた人」を指し示しています。
「嘱託」の例文
・『定年後に嘱託されたコンサルティングの仕事は、現役時代よりも依頼内容は簡単なものが増えましたが収入は半減しました』
・『シルバー雇用の嘱託社員として雇ってもらえるかどうかで、老後の人生設計・経済環境が大きく変わってきます』
「委嘱」とは?
「委嘱(いしょく)」とは、「ある程度の専門性が必要とされる業務・役割を、その組織の内部ではなく外部の人に任せること」を意味している言葉です。
「委嘱」は「民間企業の間における仕事・業務の外部への依頼」を意味しているだけではなく、「行政機関(公的組織)が外部の民間の人材に専門的なスキルが求められる仕事を頼むこと」も意味しています。
「委嘱」の例文
・『社内で英語とドイツ語の両方ができる人材がいないため、高度な専門書の翻訳事業を外部に委嘱することにしました』
・『行政のコスト改革を本気で推し進めたいのであれば、民間の経営経験者に委嘱したほうが効率的です』
「委任」とは?
「委任(いにん)」とは、「主に事務的な意思表示・処理を、本人ではない他の人や団体に任せること」を意味しています。
「委任」の言葉には、「ある仕事・物事の実行を、自分ではなく誰かに代理でしてもらうこと」の意味合いもあります。
「委任」は通常、「事務処理・問題対応・意思表示(決議)」などを他の人や組織に任せることの意味で使われている言葉になります。
個人ではなく集団組織が他に任せる場合には、「委任」ではなく「付託(ふたく)」が使われます。
「委任」の例文
・『組織の代表者としての役割と権限を信頼するに足る第三者に委任することを決めました』
・『本人が署名捺印した委任状がなければ、本人ではない人の公的書類の申請は受理されません』
「嘱託」と「委嘱」と「委任」の違い
「委嘱」の言葉には「一定の専門的なスキル・ノウハウ・知識などが必要な仕事を外部に頼んで任せる」のニュアンスがありますが、「嘱託」には「嘱託のような専門性を要する仕事の依頼」といったニュアンスがない点が異なります。
逆に「嘱託」には「定年後の雇われる期間が決まっている非正規雇用」といった意味合いがありますが、「委嘱」にはそういった非正規や高齢者(定年後)の雇用といった含みはありません。
「委任」は「嘱託・委嘱」のように「仕事を頼んで任せるの意味」ではなく、「事務処理・問題への対処・意思決定などを本人以外の人に任せて代理してもらうの意味」になります。
まとめ
この記事では、「嘱託」と「委嘱」と「委任」の意味・用法の違いについて分かりやすく説明しましたがいかがでしたか?「嘱託」と「委嘱」と「委任」の違いについて詳しくリサーチしたい人は、この記事の内容を参考にしてみてください。