「怨恨」と「怨念」と「怨嗟」
いずれもおぞましく、同じような言葉に感じますが、どのように使い分けるのでしょうか?
この記事では、「怨恨」と「怨念」と「怨嗟」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「怨恨(えんこん)」の意味とは?
「怨恨」とは、相手に対して「うらむこと」や「深いうらみの心」を意味する言葉です。
「怨恨」の「怨」という字には「うらむ」や「うらみ」といった意味があり、「怨み」と書いて「うらみ」と読みます。
同じ「うらみ」でも、「恨み」は相手に対して憎しみや不満を抱いている場合に用いられます。
「怨み」は相手に対する「恨み」に憎悪の念が伴っている場合に用いられ、「恨み」をより強めた表現になります。
「怨恨」は「怨」と「恨」が重ねられており、「恨み」を強めた「怨み」をさらに強調した言葉です。
「怨恨」を使った例文
・『今回の事件は怨恨の線で捜査が進められている』
・『嫌がらせを受けていたこともあり、彼は相手に対して怨恨を抱いている』
・『彼女は父親に対して、子供のころから怨恨の念を持っていたようだ』
・『上司のひどい仕打ちに、彼は怨恨の情を抱かずにはいられなかった』
「怨念(おんねん)」の意味とは?
「怨念」とは、「うらみのこもった思い」や「うらみに思う気持ち」を意味する言葉です。
「怨念」の「念」には「おもい」や「おもう」、「考える」という意味があり、文字通り「怨みの思い」を表しています。
「怨念」を使った例文
・『この呪いのわら人形には深い怨念が込められているそうだ』
・『怨念を持ちながら死んだ魂が悪霊や怨霊となるらしい』
・『かの人物は謀反を起こして、一族の怨念を晴らした』
・『霊媒師がこの土地には怨念が渦巻いていると言っていた』
「怨嗟(えんさ)」の意味とは?
「怨嗟」とは、「うらみ嘆くこと」を意味する言葉です。
「怨嗟」の「嗟」という字は「なげき」や「ああ」のような嘆き悲しむときに出す声を意味しています。
「怨嗟」を使った例文
・『民衆の負担を顧みない政策に、国民から怨嗟の声が上がっている』
・『何気ない発言がきっかけで、かの芸能人は怨嗟の的になってしまった』
・『彼の身勝手な振る舞いは、周囲の人から怨嗟を買った』
・『彼に対する彼女の怨嗟を生むきっかけになったのは、この前の言い争いだろう』
「怨恨」と「怨念」と「怨嗟」の違い
「怨恨」は「うらみ」そのものや「うらみの心」を表しており、「怨念」も同じく「うらみの心」や「うらみの思い」を表しています。
一方、「怨嗟」は「うらみ」ではなく、「うらみ嘆くこと」を表しています。
しかし、「怨嗟の念」、「怨嗟の声」など「怨嗟の○○」という形で、「怨恨」や「怨念」のように「うらみの思い」が表現される場合もあります。
まとめ
・「怨恨」とは、相手に対して「うらむこと」や「深いうらみの心」を意味する言葉です。
・「怨念」とは、「うらみのこもった思い」や「うらみに思う気持ち」を意味する言葉です。
・「怨嗟」とは、「うらみ嘆くこと」を意味する言葉です。