この記事では、主に法律上の観点から「親権」と「保護者」と「監護権」の違いを分かりやすく説明致します。
「親権」とは?
子供の利益の為、父母が未成年の子供に対して監督・保護・教育すると民法で定められた権利・義務です。
名称は親権ですが、義務も同時に負います。
実子に限らず、養子にも適用されます。
親が子を支配する権利ではありません。
子供の監督・懲戒を理由に児童を虐待する例が後を絶たない為、平成23年に民法第820条と第822条が改正され、「子の利益のために」と言う文言が追加されました。
両親が死亡するなどして、親権を行使する人が居ない場合、家庭裁判所が未成年後見人を選定します。
未成年後見人は、法定代理人として、監護養育、財産管理、契約や手続きなどの法律行為、その他を行います。
資格は不要ですが、破産や行方不明など欠格事項があり、未成年後見人になれない場合があります。
例えば、子供と同居する母親が死亡した場合、不倫発覚後に消息を絶った父親は、行方不明なので未成年後見人に選定できません。
未成年者の親族が選定されるとは限らず、場合によっては弁護士など、他人が選定されることがあります。
「保護者」とは?
未成年者を保護する義務を負う人、または、心神喪失等の状態にある人の為に医療観察法に基づく手続きなどを実行する人です。
該当者は、法律によって異なります。
未成年者の場合、民法では親権者である父母です。
少年法では、法律上の保護者(親権者、未成年後見人、児童福祉施設の長など)と、事実上の保護者(里親、親権者以外の同居の親族、職場の寮長など)です。
児童福祉法や児童虐待防止法では、親権の有無とは関係なく、児童を実際に監督・保護する者を示し、赤の他人である「親の恋人」なども含みます。
心神喪失等の状態にある人の場合、後見人や配偶者、親権者などが医療観察法上の保護者に選任されます。
「監護権」とは
親権の内、子供と一緒に暮らし、世話や教育・しつけなどをする権利・義務です。
住む場所の指定や、教育などは含みますが、職業の許可や財産管理は入りません。
親権とは別の権利・義務なので、両親が離婚した場合、父母が親権と監護権を分けて持つ場合があります。
具体的な例を挙げると、未成年の間は、父親が親権を持って子供の財産管理や、アルバイトなど就労の許可を担い、母親が監護権を持って子供と同居し、世話や教育・しつけなどをする場合です。
「親権」と「保護者」と「監護権」の違い
親権は、子育てと子供の財産管理に関する権利と義務を負う実父母または、養子縁組した養親で、保護者は、子供の不法行為や非行など何かあった場合に責任を取る人で、赤の他人を含め、様々な人が関わります。
監護権は親権の一部です。
必ずしも、実際に子供の面倒を見て、子供の行為に責任を持つ保護者が、子供の財産を管理する権利と義務を持つとは限りません。
まとめ
その時に適用される法律や、子供や心神喪失等の状態にある人との関係によって変わるので、注意が必要です。
例えば、それぞれ、子供が居る男女が結婚した場合、互いの連れ子は、養子縁組しなければ、法律上は他人のままです。
配偶者の実子に対しては、親権が発生しません。
同居している場合、法律上は他人のままでも、連れ子に対して保護者にはなります。