製品の作られた国などは購入する際の判断材料としてよく使われています。
しかしながらよく目にする表示には意外な落とし穴が存在しています。
この記事では「国内製造」と「海外製造」と「国産」の違いを分かりやすく説明していきます。
「国内製造」とは
これは『材料などの作られた場所や国には関わらず、最終製造工程が国内であること』を表した言葉です。
ポイントは『材料』と『最終工程』にあります。
まず食品や素材など以外に何かを作るには『材料』を調達して工場で付加価値を付与することが必要です。
例えばチューブを製造する為にはプラスチックなどの『材料』を仕入れて工場で加工する必要があります。
これを『製造』と言います。
電子部品などの比較的構成されている『材料』や『部品』が少ないものから車や電子機器の様な様々な部品や材料で作られているものもありますが、これらの材料は生産されている国や場所は様々です。
電子部品や車という製品を成り立たせる為に『最終工程』がありますが、ここが『国内』で行われている際に使われる言葉が『国内製造』という意味です。
決して全ての構成部品や材料が『国内で作られている』ということではないことに注意をして下さい。
「海外製造」とは
これは『材料などの作られた場所や国には関わらず、最終工程が海外であること』という意味を持っている言葉です。
この場合の『海外』は我々にとっては日本以外という意味になります。
先ほどの『国内製造』と考え方はとても似ており、ある製品の製造最終工程が『日本以外の国』であるというものなのです。
ここでポイントになるのは材料や構成部品などが国内、つまり日本で作られていたとしても製品として成り立たせる為に海外で最終工程を行った際は『海外製造』という意味になります。
『海外製造』を行う理由は様々存在し、その時々や国際情勢によって大きく変わりますが、一般的に言われている内容としては『製造コストを低減する為』と『関税を回避する為』が挙げられるのではないでしょうか。
90年代後半から2000年代にかけて日本の製造コストが大きくなると、コスト競争力を高める為に製造業は中国やアジアに工場を建てたことを記憶されている方も多いと思います。
また、国は『関税』を設けることにより自国のビジネスを守りますが、この際に最終工程を海外にしてしまえば、輸出国は関税回避ができ、相手国は雇用や産業を守ることができるという意味から『海外製造』は行われています。
「国産」とは
これは『自分の国、我々の場合は日本で生産をすることやその産物』を表します。
ここで落とし穴があり、多くの方が『日本で作られたもの』というイメージを持っていると思いますが、これは正しくありません。
例えば『国産車』という言葉を例にとると理解できるはずです。
先ほどご説明した通り、自動車を構成する部品や材料は多く存在しており、全てを日本製や日本産にすることは今ではほぼ不可能です。
ここで『日本産』や『日本製』という言葉を使いましたが、これがいわゆる『日本で限定して生産されたり製造されたりするもの』という意味になります。
「国内製造」と「海外製造」と「国産」の違い
それぞれ我々日本人から見ると『構成部品の国は問わず、最終工程を日本で行っているもの』、『構成部品の国は問わず、最終工程を海外で行っているもの』、『日本で生産されたもの』という違いをつけることができます。
ここで迷うのが『国内製造』と『国産』の違いですが、『製造』は加工製品に対して使われ、『生産』は『製造』の一歩手前の『原料』を取り出して素材にすることに使われます。
つまり、『国内製造』と『国産』はほぼ同じ意味ですが、対象にしているのが製品なのか素材なのかが違いになります。
まとめ
如何でしたでしょうか。
とてもややこしい言葉なのが今回の『国内製造』、『海外製造』、『国産』でした。
特に『国産』は誤った認識をされている方が多いので注意が必要です。
もしも本当に純粋な『日本産』が欲しければ必ず日本のどこで作られているのかを確認するようにしましょう。