台風や地震による被害を伝えるニュースでは「損壊」と「倒壊」と「全壊」が使い分けられています。
どれも同じような被害状況に思えますがどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「損壊」と「倒壊」と「全壊」の違いについて解説します。
「損壊」とは?
「損壊」とは、「物体が壊れること」を意味する言葉です。
「損壊」とは「物体が正常な状態でなくなり本来の価値が損なわれること」を意味しています。
「壊れてしまったことにより期待される性能や価値が失われること」が「損壊」なのでちょっとキズがついたりへこんだりしても使用に問題が無かったりほとんどど目立たなくて気にならない場合は当てはまりません。
価値が損なわれるような壊れ方が「損壊」なので通常はかなりの程度壊れている状態を表します。
容易には修理できず売却したら元の状態よりも大幅に査定が下がるような壊れ方を指しますが、物品によってその程度は異なります。
美術品や芸術品ならほんのわずかなキズやよごれでも価値が暴落しますが鉄アレイのように多少キズがついたり汚れたりしても使用に問題がない物品は少々の壊れ方では「損壊」とは呼ばず、折れたり割れたりなど使用に差し支えのあるレベルの壊れ方にのみ使用されます。
「損壊」の例文
・『台風により自宅が損壊する』
・『地震による道路が損壊してしまったが、昼夜を問わない補修作業により3日で補修が完了した』
「倒壊」とは?
「倒壊」とは、「壊れて倒れ崩れること」を意味する言葉です。
「倒壊」という表現は「地面に建っている巨大なものが壊れてひっくり返ること」を表します。
主に建築物に使われる言葉で、建物が壊れてしまい建っていた状態から地面に倒れてしまう様子を指して「倒壊」と表現します。
建物以外にも看板や像など地面に据え付けられている背の高い物が壊れて元の状態を維持できなくなったときに用いられる表現です。
壊れて崩れ倒れてしまっているので元の状態に復旧するには相当の時間と費用がかかります。
「倒壊」の例文
・『地震により多数の家屋が倒壊した』
・『町の名物だった観音像だが老朽化により倒壊の恐れがあるとわかり解体することが決まった』
「全壊」とは
「全壊」とは、「修復不可能な程すっかり壊れてしまうこと」を意味する言葉です。
「一部分だけ壊れるのではなく全体が壊れてしまうこと」を指して「全壊」と表現します。
「一般的には大部分が壊れ元の状態に修復するのに新しく用意するのと同じかそれ以上の費用がかかる状態」を指し、災害被害の認定基準では「全壊」を「全体の7割以上が被害を受けている状態」が基準です。
被害を受けていない部分が3割以下であれば保険適用や被害補償などで「全壊」扱いになります。
「全壊」の例文
・『暴風雨のせいで学校が全壊してしまった』
・『自宅が全開してしまったので建て直すことになった』
「損壊」と「倒壊」と「全壊」の違い
「損壊」と「倒壊」と「全壊」の違いは「被害の程度」と「大きさ」です。
「損壊」は物体の一部分が壊れていることを意味します。
修復すれば元通りになる様は比較的軽微な壊れ方を表す言葉です。
「倒壊」と「全壊」は元の状態が保てないほど甚だしい壊れ方を表します。
「損壊」と「全壊」はどのような物体にも使える表現ですが「倒壊」は壊れて倒れている状態を表す言葉なので建物など背の高い大きなものに対してのみ使う言葉です。
まとめ
「損壊」と「倒壊」と「全壊」はどれも壊れている様子を表す言葉ですが規模や程度に違いがあります。
どの程度壊れているかで使い分けましょう。