「貸す」と「貸し出す」と「借す」の違いとは?分かりやすく解釈

「貸す」と「貸し出す」と「借す」の違い生活・教育

我々の生活では売買する以外の方法で物を持つということが存在しています。

今回は代表的な3語についてご紹介します。

この記事では「貸す」「貸し出す」「借す」の違いを分かりやすく説明していきます。

「貸す」とは

これは『自分のものなどを時間を限定して他人に使わせること』を表している動詞です。

一般的な言葉として普及しており、友人や家族などの間で使われる動詞ではないでしょうか。

例えばAさんが読みたい本を持っており、それを一時的に使う、つまり読ませてほしいという時には『Aさんに本を貸す』という表現をします。

もう一つの使われ方としては『自分の能力や労力などを相手に提供する』という意味も持っています。

よく言われる『君の力を貸してほしい』という表現は『一時的に使わせてほしい』という意味ではなく、『能力や労力を提供してほしい』という意味になります。


‐「貸す」の例文

・『すみません、たばこの火を貸していただけませんか?』
・『ペンを忘れてしまったので貸してくれませんか?』


「貸し出す」とは

これは『業務の一環として物を貸して外部に持ち出させたり使用させる』という意味を持っている言葉です。

つまりビジネス的な意味として使われる言葉であり、例えば銀行などの営利目的の企業が資金などを支出するときがありますが、この場合は『貸し出す』という意味を使います。

もちろん非営利団体、例えば図書館などが利用者に書籍を貸す場合は『貸し出す』という言葉を使いますので、『業務として』何かを使用させたり使わせることを『貸し出す』ということもできるのではないでしょうか。

「貸し出す」の例文

・『会社設立の為にA銀行は多額の資金の貸し出しを行った』
・『この図書館は1人につき5冊まで貸し出しをしています』

「借す」とは

前提として『借す』(かす)という言葉は存在しません。

『借りる』(かりる)という言葉が正しい日本語であり、あえて読むならば『しゃくす』ということが言えますが正しくはないということを覚えてください。

『借』という言葉は会計の勉強を行った方ならお分かりになると思いますが、『他人のものを一時的に自分のもののように使う』という意味を持っています。

これに鑑みると『借す』という言葉が文法的に成り立たないことがお分かりになるのではないでしょうか。

「借す」の例文

正しい言葉ではありませんので『借りる』として例文をご紹介します。

・『申し訳ございませんが、この資料をお借りできませんでしょうか?』
・『真田さんは父親から借りている車で事故を起こしてしまった』

「貸す」と「貸し出す」と「借す」の違い

それぞれ『一般的に何かを一時的に使わせること』、『営利、非営利問わず業務として何かを他人に一時的に使わせること』、『誤った表現。

借りるが正しい言葉であり、他人のものを自分の物の様に使うこと』という違いをつけることができます。

『貸す』と『貸し出し』はほぼ同じ意味ですが、『借す』つまり『借りる』は他の2つとは真逆の意味を表しているともいうことができます。

まとめ

如何でしたでしょうか。

『貸す』と『貸し出す』にニュアンスの違いがあることと、『借す』という言葉は実は存在しないというのは意外ではないでしょうか。

今回の『借す』の様に間違えて浸透している言葉というのは多く存在しています。

フォーマルな場面では思わぬ恥ずかしい思いをすることもありますので、使う言葉には十分注意をしてみることを心掛けて下さい。