「俗世」と「世俗」と「浮世」の違いとは?分かりやすく解釈

「俗世」と「世俗」と「浮世」の違い生活・教育

似たような意味で使われる言葉として「俗世」「世俗」「浮世」があります。

これらの言葉はどのような意味の違いがあるのでしょうか。

今回は、「俗世」「世俗」「浮世」の違いについて解説します。

「俗世」とは?

「俗世」とは、「いいことも悪いこともある雑多な世の中」を意味する言葉です。

「俗世」とは「俗にまみれた世間」を表しています。

人々が元気に生活したり前向きな気持ちを抱いて日々を過ごしたりといった健康的な側面だけではなく、金目当てに行動したり惚れた腫れたの恋愛沙汰を繰り広げたりといった人の欲望にまみれた部分を含めた「世の中の表と裏全てを指す言葉」「俗世」です。

「俗世」はもともと仏教の言葉であり「出家していない俗人が住む世界」を意味する言葉でした。

仏門に帰依したものが過ごすような清廉潔白な世界ではなく「色もよくもあるぞくな世界」「俗世」であり、宗教的に隔絶された限られた一部の世界以外は全て「俗世」に含まれます。


「俗世」の例文

・『気は進まないが俗世の義理を果たさなければいけない』
・『多くの人は辛いことの多い俗世に自分なりの小さな幸せを見出している』


「世俗」とは?

「世俗」とは、「世間一般で通じる常識や風習」を意味する言葉です。

「世の中に広まっていて当然とされている当たり前の考え方やふるまい」を指して「世俗」といいます。

本来の意味は「宗教的ではないこと」であり、「特定の宗教的価値観や考え方によらない多くの人々の間に自然に浸透している土着的なものの見方や考え方」という意味で使われていた言葉ですが、現在ではもっと広く「世の中に浸透していて一般的となっていること」を意味する表現として使われています。

「世俗」の例文

・『世俗のことについてはよくわからない』
・『貴族的な生き方を捨て世俗にまみれる生活を始める』

「浮世」とは

「浮世」とは、「今生きているこの世の中」という意味の言葉です。

「浮世」という言葉は世の中を客観視した取るに足りないものとする視点が含まれています。

今を斬る人々にとって人生や世の中というのは非常に大きなものですが、「浮世」という言葉は多くの人にとってとても価値のある世の中をあえて軽く見る達観ときに使われる表現です。

本来は「憂き世」と書き「辛いことの多い世の中」という意味でしたが、そこから転じて「辛いながらも楽しいこともある世の中」という意味合いで使われています。

「浮世」の例文

・『辛い浮世を笑って過ごす』
・『彼は浮世離れした言動が目立つ』

「俗世」と「世俗」と「浮世」の違い

「俗世」「浮世」はどちらも我々が今生きている現実としての世の中を指す言葉です。

「世俗」はそのような現実としての世の中に根付いている習慣や風習を意味します。

「俗世」「浮世」で通じる常識が「世俗」であり、「世俗」の通じる範囲が「俗世」「浮世」に当たります。

世の中で起きるいいことや悪いこと全てを含めて「世俗」と表現し、そのようないいことや悪いことがある世の中全体を「俗世」、いいことや悪いことの原因となる人々が日々を営む生活の場としての世の中を指すのが「浮世」です。

まとめ

「俗世」「世俗」「浮世」は日常会話ではあまり使わない言葉ですが活字では比較的目にする機会の多い表現です。

似たような意味ですがニュアンスと意味の違いを覚えておきましょう。