「掌握」と「把握」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「掌握」と「把握」の違い生活・教育

この記事では、「掌握」「把握」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「掌握」と「把握」の違い

「掌握」にも「把握」にも用いられている「握(にぎる)」という漢字には、何かを理解し自分のものにする、手の中に入れると意味があります。

そのため、一見、同じ意味を持つように見える、「掌握」「把握」ですが、少し異なってくる両者。

自分の意のままにすることといった意味を持つ「掌握」

そのため、あまり、良い意味で用いられる言葉ではありません。

一方、「把握」には、十分に理解すること、よく理解することといった意味となり、特に悪いイメージはありません。

「掌握」には、理解するといった意味だけではなく、そのことについてコントロールするという意味が付け加えられることになります。

「掌握」には、物に対してだけではなく、心の支配の意味として使用されることもあり、この点も「把握」との大きな違いとなります。


「掌握」と「把握」の使い方の違い

相手や物を支配しているか、理解だけしているのかによって使い方が異なる「掌握」「把握」

「掌握」には、立場が上のものが支配すると意味で使うことが多く、使い方を間違ってしまうと相手を不愉快にさせてしまう可能性が非常に高くなります。

そのため、「掌握」を使用する際には最善の注意が必要です。

一方、「把握」の場合は、悪いイメージがないため、気軽に使用することができます。

思い通りにする際や人や物事を支配するといった意味で用いる場合は「掌握」

しっかりと理解することの際には「把握」といった使い分けを行えば特に問題はありません。


「掌握」と「把握」の英語表記の違い

「掌握」の英語表記は、controlです。

「掌握する」は、completely grasp 《the situation》、command 《the services of one’s men》be in complete control of 《one’s subordinates》。

「政権を掌握する」は、take (over) the reins of government、come into powerとなります。

「把握」の英語表記は、grasping; grip; grasp; prehension; ascertainment; holdです。

「把握する」は、grasp 《the meaning》、get hold of 《the subject》となります。

「掌握」の意味

思い通りになること、自分の意のままにすることを意味する「掌握」

「掌(てのひら)」「握(にぎる)」という漢字が組み合わさっていることからも分かるように「ものごとを自分の意のままにする」といった意味を持ちます。

「掌握」には、良い意味として、「心をつかむ」といった意味で用いることもありますが、「支配する」といった悪い意味で用いることもでき、使い方には注意が必要な言葉となります。

「掌握」の使い方

「掌握」の使い方としては、「政権の掌握」「部下の掌握」「人心掌握」「掌握力」「掌握術」「掌握下に入る」などがあります。

どれも基本的に自分の思い通りになることを指す使い方です。

「把握」に比べると、耳にする機会は少ない「掌握」です。

「掌握」を使った例文

・『上司は部下をうまく掌握していると思う。』
・『やっと、ゲームの中のお気に入りのキャラクターを掌握することができて嬉しい。』
・『会社をまとめるためには、掌握力は欠かせません。』
・『内戦に勝ったものが政権を掌握することができるのです。』

「掌握」の類語

「掌握」の類語には、自分の思い通りにすることを意味する「牛耳る」

うまく人や物を動かし使うことを意味する「操る」

人をはじめ、ほかの組織を自分の組織の一部に加えることを意味する「傘下に収める」

全体を取り仕切ることを意味する「支配下に置く」

自分のものにすることを意味する「手中に収める」などがあります。

「掌握」の対義語

「掌握」の対義語には、権力などに従う意味を持つ「従属する」

自分より力の強い人に行動などの制限を受ける意味を持つ「支配される」などがあります。

「把握」の意味

よく理解することを意味する「把握」

「把」にはにぎるという意味があり、その「把」「握(にぎる)」が加わり、「しっかりとつかむ、にぎる」といった意味を持つことになります。

「把握」の使い方

「把握」の使い方としては、「状況を把握する」、認識し理解する力を意味する「把握力」、現在の状況を認識し理解する「現状把握」、赤ちゃんの無意識な反応を意味する「把握反射」などがあります。

「把握」を使った例文

・『彼の話だけでは、まだ、把握できないことがたくさんある。』
・『資料を読んで話の内容を把握することができた。』
・『現状把握には、調査や分析、事実関係の確認などを行う必要がある。』
・『生まれたばかりの赤ちゃんの把握反射は、とてもかわいい。』

「把握」の類語

「把握」の類語には、内容や意味が分かることを意味する「理解」

しっかりとつかまえること、理解することを意味する「把捉」

理解し受け入れることを意味する「納得」

物事の事情や意味をよく理解することを意味する「心得る」などがあります。

「把握」の対義語

「把握」の対義語には、ぼんやりとして、はっきりしないさまを意味する「漠然」などがあります。

まとめ

このような違いがある「掌握」「把握」

「把握」に比べ、使用する頻度も少ない「掌握」

また、あまり良い意味で用いられないこともあるため、使用する際には注意が必要です。