人間の持つ『怖れ』とは実はとても複雑で様々な場合で使われる意外な心理状態です。
今回はその中でもよく使われる3つについてご紹介致します。
この記事では「畏怖」と「畏敬」と「恐怖」の違いを分かりやすく説明していきます。
「畏怖」とは
この言葉の意味は『圧倒されてしまい、おそれおののくこと』を表す言葉です。
厳密には何かしらの権威や権力に対して抱くおそれを表す言葉です。
例えば古来より人々は神や精霊など超常的なものや王や皇帝などの自分達よりも圧倒的なパワーを持つものに対して『怖れ』の感情を抱いていました。
これは物理的にパワーがあるので恐ろしいという意味もありますが、どちらかというと自分達よりも優れているものや理解を超えたものに対しての敬意が込められた怖れという非常に限定されている言葉なのです。
もちろん恐ろしい生き物や悪霊などの類に対してもこの言葉は使われます。
「畏怖」の例文
・『この村の人々は古来より山に対して畏怖の念を抱いている』
・『自然の神秘に畏怖するこころは今も昔も変わらず人々の心にある』
「畏敬」とは
この単語は『崇高なものや偉大なもの、人などに対しておそれうやまうこと』です。
ポイントは2つ存在しており、『崇高なものや偉大なもの』と『うやまう』という部分です。
つまりこの言葉は恐怖という感情もあるもののどちらかというと敬う気持ちが強い表現になっているのです。
例えば先ほどの様に神仏に対して『畏敬』の念を抱くこともありますし、宇宙や自然などの壮大なものに対して『敬う』気持ちというものは発生します。
しかしながら、この言葉はお化けや悪霊などの類に対しては使うことのない言葉と言えます。
なぜなら一般的な観点から言って『恐れる』ことはあっても『敬う』ことはほぼあり得ないからです。
「畏敬」の例文
・『神々を畏敬する心はいつの時代も人々に自制心をもたらしてきた』
・『この作品からは自然への感謝と畏敬の念が溢れているのを感じる』
「恐怖」とは
この単語は『おそれたり怖いと思うことやその気持ち』を表す一般的なものです。
対象は様々存在していますが、この言葉が強調している部分は物理的にも精神的に何かしらの害や脅威を与えられるかもしれないという部分です。
つまり、『怖れ』としては純粋な感情であり、そこには敬意などの別の感情は入っていないということがわかります。
例えば伝染病や紛争などは直接的に損害を与えることになる為、人々は『恐怖にかられる』ことがあります。
「恐怖」の例文
・『昨今多発する銃撃事件に恐怖した』
・『猛獣の足音が近づき大きくなるにつれて恐怖が募った』
「畏怖」と「畏敬」と「恐怖」の違い
それぞれ『圧倒されて恐れる』、『敬意をもって対象を恐れる』、『純粋に怖い』という区別をつけることができます。
『畏怖』と『畏敬』は『怖れ』以外に別の感情が混じっている複雑な表現ですが、『恐怖』は最も単純な『怖い』という感情や心理状態であるという違いをつけることもできます。
まとめ
如何でしたでしょうか。
一言で『怖れ』を表現するにしても人間の文化的な背景が関わると様々な『恐れ方』が存在していることがお分かりいただけたと思います。
これ以外にも感情に関係する言葉はとても豊かですので是非調べてみてください。