この記事では、「同感」と「同意」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「同感」と「同意」の違い
相手の意見や考え、周りの意見や考えに賛成するといった共通の意味を持つ「同感」と「同意」。
ただし、意思表示の有無には違いがあります。
「同感」の場合は、自分自身が賛成だと思っているだけでも使用することができる言葉ですが、「同意」の場合は違います。
相手に必ず同じ考えであるということ、同じ意見であるということを自分の言葉として相手に伝えなければいけません。
「同感」と「同意」の使い方の違い
「同感する」、「同意する」といった共通の使い方がある一方、片方しか使用できない使い方もあります。
例えば、「同意書」はありますが、「同感書」はありません。
理由としては、「同感」には、必ず賛成であるということを相手に伝えなければいけないといった意味が含まれていないためです。
そのほか、「同意語」はありますが、「同感語」はありません。
「同感」と「同意」の英語表記の違い
「同感」と「同意」の英語表記も異なります。
「同感」の英語表記は、sympathyです。
「同感である」は、sympathize 《with》/feel the same way/share somebody’s feelings. 「全く同感です」は、I couldn’t agree with you more. / I agree completely. などとなります。
「同意」の英語表記は、agreement; approval; consentです。
「同意する」は、agree with somebody about [on] something/agree to something 【形式ばった表現】 consent to/【形式ばった表現】 subscribe to 《an opinion, a plan》 「同意を得る」は、get [【形式ばった表現】 obtain] somebody’s consentなどとなります。
「同感」の意味
「同じ」と「感じる」といった意味から成り立つ言葉「同感」。
相手など周りの人の意見や考えに賛成することを意味しています。
基本的に自分自身にも意見や考えがあることが前提です。
そのため、自分自身の意見や考えがない場合、「同感」することは基本的にできません。
「同感」の使い方
「同感」は、「同じ意見です」などといった時に「同感です」といったような使い方が多くなります。
もちろん、同じ意見や考えではない場合は、「同感できない」という言い方で相手に自分の意見や考えを伝えることが可能です。
そのほかには、「同感の意」、「大いに同感する」、「ひどく同感する」などがあります。
「同感」を使った例文
・『どう考えても、その考え方に同感することはできない。』
・『将来の進路に向けた考えで、父も母も私の考えに同感してくれ嬉しく思います。』
・『私も君の意見には同感だ。』
・『同意の意を示します。』
「同感」の類語
理解するといった意味の「同感」の類語には、「会釈」、「同情」、「了解」、「理解」、「会得」などがあります。
また、他人との気持ちを分かち合うといった意味では、「共鳴」、「共感」、「シンパシー」など。
同意する言語行動といった意味では、「賛成」、「承諾」、「取り決め」、「納得」、「一致」、「合意」、「調和」などがあります。
「同感」の対義語
「同感」には明確な対義語はありません。
対義語として表現する場合は、「同感する」の反対の意味として「同感できない」が適切です。
「同意」の意味
「同じ」「意見」と書いて、「同意」。
この漢字の通り、相手の意見や考えなどに対し賛成することを意味します。
「同意」の場合、必ず相手がいなければ成立しません。
相手が出した意見や考えに対し自分自身も賛成することを意味するためです。
そして、「同意」の場合、心の中で「同じ考えだ」と思っているだけではいけません。
必ず相手に対し「私も同じです」「賛成します」と意思表明して初めて「同意」となります。
「同意」の使い方
相手の意見や考えに対する「同意」の使い方は、「同意する」、「同意します」などとなります。
一方、自分自身の意見や考えに対する「同意」の使い方は、「同意してもらう」、「同意を得る」などとなります。
そのほか、「同意」には、「同意書」、「同意の下で」、「同意の上で」、「同意語」などがあります。
「同意」を使った例文
・『クラス全員に同意してもらうことができるように一生懸命に説明しました。』
・『契約書に同意するためには、隅々まで契約内容を確認しなければならない。』
・『彼の考えに同意することにした。』
・『やっとの思いで家族全員の同意を得ることができ、はれて新居を購入することができました。』
「同意」の類語
賛成の意見を表明するといった意味として、「可決」、「賛成」、「賛同」、「許可」、「容認」、「承認」などとなります。
また、同意する言語行為といった意味として、「調和」、「合意」、「協約」、「取り決め」、「規約」、「協定」などがあります。
「同意」の対義語
「同意」には、いくつかの対義語があります。
意見などに逆らうといった意味となる「反対」、「反論」、「反意」。
そのほか、「反駁(はんばく)」や「異議」も「同意」の対義語となります。
まとめ
以上が「同感」と「同意」の違いです。
同じように、相手の意見や考えに対し、自分自身の意見や考えも同じであるといった意味を持つ「同感」と「同意」ですが、その気持ちを表に表すか、表さないか、に大きな違いがあります。
「同感」の場合、自分自身も同じ意見や考えであるということを表に表す必要はありません。
自分の心の中で止めておいても問題はありません。
しかし、「同意」の場合は違います。
必ず相手に自分も同じ意見や考えであることを明確に伝えなければなりません。
その代表が「同意書」です。
「同意書」とは、同じ考えであるということを認めた書類となります。
そのため、「同意書」にサインする時は、その内容をよく確かめ、認めることができるか判断したうえで責任を持ちサインする必要があります。