『もともと』という言葉を一つとっても様々な表現が存在します。
今回は微妙なニュアンスの違いがある3つについてご紹介致します。
この記事では「元来」と「生来」と「本来」の違いを分かりやすく説明していきます。
「元来」とは
この言葉の意味は『物事などが初めからそのような状態であったことを指す』を指しています。
ポイントとしては『初めから』という部分にあります。
例えばある目的を持った製品が作られています。
しかしその製品が意図していた目的以外の方法で使われている場合も実際は存在します。
そのようなときに『この製品は元来この様な使い方を意図して設計されていない』という表現をします。
「元来」の例文
・『製品Aは元来、設計者を支援するという目的の為に作られた』
・『人間というのは元来社会的動物であることは疑いがない』
「生来」とは
この単語は『生まれた時から持っている性質や能力など』を指す言葉です。
この言葉のポイントは『生まれた時から』という部分にあります。
例えばあるのんきに構えている人がいたとします。
その人物について昔からよく知る人に聞いてみると、『あの人は生来ののんき者なんだよ』という返答がある場合はそれが『生また時から継続している性質』という意味であることがお分かりいただけると思います。
そういう意味では『生まれつき』という意味に置き換えることのできる言葉であるともいえます。
「生来」の例文
・『田畑さんの生来もつ繊細な感覚がこの素晴らしい芸術を生み出すことに大きな影響を与えている』
・『他の人種に比べて、白人は生来太陽光からの影響を受けやすい体質なのでスキンケアには特に注意が必要である』
「本来」とは
この単語は『その様な状態や性質であることが当たり前のこと』を意味しています。
もう少し別の角度で見ると『正式には』や『現時点ではそうではないが、本当は』という意味を持っている表現です。
例えば交通事故やルール違反による処罰というものが発生しますが、これらは本当はあってはならないこととは言えないでしょうか。
そのようなときに『本来この様な交通事故(ルール違反)はあってはならない』のように現状と本当にあるべき姿のギャップを強調する意味で使われる言葉です。
「本来」の例文
・『本来であれば、この問題は当事者である君が解決するべきではないか』
・『島津さんは本来短距離走を専門にやっていたが、大けがをした後は長距離走に転向した』
「元来」と「生来」と「本来」の違い
3つとも『もともと』という意味を持ちますが、それぞれ『はじめから』、『生まれ持った、生まれた時から』、『本当は』という区別をつけることができます。
時間軸という観点で見た場合『生来』は過去も昔も状態が継続しているという意味が強いですが、『元来』と『本来』は過去と現在の状態にギャップが存在しており、その差を説明する為に使われるという分け方もできます。
まとめ
如何でしたでしょうか。
『もともと』という表現であっても指し示している『もともと』がなんなのかが違うのがご理解頂けたと思います。
また、時間軸での比較というのも言葉の違いを理解するのに有効ですので是非意識してみてください。