この記事では、「苦悩」と「葛藤」の違いを分かりやすく説明していきます。
「苦悩」と「葛藤」の違い
「苦悩」と「葛藤」の違いについて紹介します。
「苦悩」と「葛藤」の使い方の違い
「苦悩」は、「難しい問題にぶつかり、苦しみ思い悩むこと」に使われます。
ひたすらそのものごとに対して心を痛め、苦しんでいる様子です。
「葛藤」は、「心の中で相反するものに対して迷い悩むこと」に使われます。
2つの考え方の狭間でどうするべきか悩む様子です。
「苦悩」と「葛藤」の英語表記の違い
「苦悩」の英語表現は以下の2つがあります。
1つ目は「agonize over」で、「苦しむ」「もだえる」という意味です。
“She has been agonizing over knowing the truth.”
(彼女は事実を知って苦悩している)
2つ目は「angish over」で「(心で)苦悩する」「苦悶する」という意味です。
“I angished over the decision.”
(その決断に苦悩した)
「葛藤」の英語表現は以下の2つがあります。
1つ目は「coflict」で「対立」「衝突」「葛藤」という意味です。
“She was conflicted between her dream and the reality.”
(彼女は夢と現実の間で葛藤した)
2つ目は「rough time」で「辛い時間」というニュアンスです。
I am having a rough time deciding whether I will quit a job ot not. “
(私は仕事をやめるべきか続けるべきかで葛藤している)
「苦悩」の意味
「苦悩」は「くのう」と読みます。
意味は文字通り「あれこれと苦しみ、悩むこと」です。
現在の状況に対して、どうしたら良いか分からない、全く解決策がない、何も考えられないなどで、頭の中で悶々と苦しんでいる様子を言います。
複雑な問題や、自分一人ではどうしようもない問題が起きて、追い詰められている時の心理を表します。
「苦悩」の使い方
「苦悩」は、「色々と苦しみ、思い悩むこと」に使われます。
「苦悩する・した」と助動詞を伴って使われたり、「苦悩の末に~した」などと使われたりします。
「葛藤」との違いは、「相反する考えに悩む」のではなく、「そのものごとに対してひたすら思い悩むこと」に使われるという点です。
「苦悩」を使った例文
・『昨日からずっと数学の難問に苦悩している』
・『彼にその問題の話題を振った途端、苦悩の表情を浮かべた』
・『彼女は苦悩の末に離婚を決意した』
・『私がどれほど苦悩したかを誰も知らない』
・『借金地獄に陥りずっと苦悩の日々が続いている』
「苦悩」の類語
・「苛まれる(さいなまれる)」
「厳しく責められたり苦しめられること」という意味です。
・「もがき苦しむ(もがきくるしむ)」
「激しい苦痛を感じて耐えられず暴れること」という意味です。
「苦悩」の対義語
・「楽観(らっかん)」
「ものごとや未来を良い方に考えて心配しないこと」という意味です。
「葛藤」の意味
「葛藤」は「かっとう」と読み、以下の3つの意味があります。
1つ目は「人と人とが対立して、お互い譲らずに反目し合うこと」という意味です。
親子など近い関係に問題がある時の表現です。
2つ目は「心の中に相反する感情や考えなどが存在して、どちらを取るべきか迷い悩むこと」という意味です。
相手がいない場合にはこちらの意味で使われます。
3つ目は「仏教用語で、正しい道の妨げとなる煩悩のこと」という意味です。
「葛」は「かずら」、「藤」は「ふじ」と読み、どちらも「つる」が伸びる植物です。
「葛」と「藤」が絡み合うとほどくのが困難になることから、「からみ合った心理状態」のたとえとして使われる様になりました。
「葛藤」の使い方
「葛藤」は、主に「心の中で相反する考えが生じて迷い悩む様子」に使われます。
名詞として使われたり、「葛藤する・した」と助動詞を伴って使われたりします。
漠然と困難を感じて悩むのではなく、2つの違う考え方や感情が存在して、そのどちらを取るべきかで悩む時の表現です。
漠然と迷うのではなく、どちらの考えもはっきりと主張して対立する心理状態に使われます。
「葛藤」を使った例文
・『彼氏と、結婚に反対する親とどちらを取るべきか葛藤する』
・『会社を辞めたい、でも無職になりたくないという気持ちで葛藤する』
・『やりたいことができる会社にするか、給料の良い会社にするかで葛藤する』
・『仕事か結婚かで葛藤が生じる』
・『なりたかった医師になったけれども、理想と現実の間で葛藤に苦しむ』
「葛藤」の類語
・「自己矛盾(じこむじゅん)」
「自分の中で理屈や行動が食い違い、つじつまが合わなくなること」という意味です。
・「進むも地獄、退くも地獄(すすむもじごく、しりぞくもじごく)」
「どちらに進んでも好ましくない結果になるので悩むこと」という意味です。
「葛藤」の対義語
・「割り切る(わりきる)」
「個人的な感情を入れずに理性で判断すること」という意味です。
まとめ
今回は「苦悩」と「葛藤」について紹介しました。
「苦悩」は「困難なことに苦しみ悩むこと」、「葛藤」は「心の中で相反するものに対して迷い悩むこと」と覚えておきましょう。