島国である日本の中で生活していると、自分や周りの人々に関して民族的な意識することはあまりありません。
しかし、ヨーロッパや南米、アフリカ大陸などは隣あった国自体が違う民族だったり、違う宗教であることも多いので、おそらく民族に関して常に意識して生活しているのではないでしょうか。
さて、ここで使用した「民族」と言う言葉ですが、一体どのような意味なのでしょうか。
同じような意味で使用する「部族」や「氏族」との違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「民族」と「部族」と「氏族」の違いを分かりやすく説明していきます。
「民族」とは?
「民族」とは、最も単純な意味としては、「共通の文化を持つ集団」のことです。
ここでいう共通の文化とは、主に「言語」、「人種」、「宗教」のことです。
つまり、遺伝的に近く、同じ言葉を話し、同じ宗教を持つのが「民族」です。
しかし、場合によってはいくつかが共通でないこともあり得ます。
国家の単位とは同じでないことも多く、そのことが国の内部での紛争の原因となることが多いのも事実です。
「民族」を英訳すると、「race」や「nation」もありますが、ここで説明したのは「ethnic group」と言う定義になります。
「部族」とは?
「部族」とは、やはり「共通の文化や歴史的な背景を持つ集団」のことなのですが、繋がりはかなり強いのが特徴です。
文化や歴史を父系や母系の繋がりによって、先祖から脈々と受け継がれてきた結果として成立しているものです。
したがって、血縁関係を持つ親戚の集団がたくさん集まって形成されているとも言えます。
「部族」と言う言葉自体は今では特殊なシチュエーション以外にはほとんど使われません。
英語では、「tribe」と言います。
「氏族」とは?
「氏族」とは、やはり「共通の文化や歴史的な背景を持つ集団」なのですが、「氏」と言う文字を使っていることからわかるように、血縁の要素が最も強い集団です。
「共通の祖先を持つ人たち」とも定義できます。
英語では、「clan」と言う定義が近いでしょう。
「民族」と「部族」と「氏族」の違い
「民族」と「部族」と「氏族」の違いを、分かりやすく解説します。
これらの言葉は、「同一の文化的な背景を持つ人たちの集まり」と言う意味では同じなのですが、それぞれの意味は違います。
実際には、背景となる考え方の違いによってこれらの言葉の定義は変わってくるのですが、この記事では、その違いを集合の大きさで定義します。
つまり、小さな集合から大きな集合へ「氏族」、「部族」、「民族」の順番ということになります。
と言うことは、「氏族」が集まって「部族」になり、「部族」が集まったものを「民族」と呼ぶということになります。
まとめ
この記事では、「民族」と「部族」と「氏族」の違いを説明してきました。
この中で、最も頻繁に、日常的にも使われるのは「民族」なのですが、ここまで解説してきたように、その「民族」に関しても色々な見方があり、統一的な意味が共有されてるわけではありません。
また、「トライブ」と言う言葉を最近聞くことが多くなりましたが、この言葉は日本語では「部族」ですが、「部族」に関してはほぼ使うことはありません。
「氏族」も含めて、重要なのは言葉によって限定することではなく、いろいろな立場の人の考えを尊重するような、もっと柔軟な考え方ではないでしょうか。