この記事では、「私事」と「私儀」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「私事」と「私儀」の違い
「私事(わたくしごと)」と「私儀(わたくしぎ)」はどちらも、「公ではない私自身に関連する事柄・個人的な事柄(都合)」という同じ意味を持っている同義語ですが、「私事」よりも「私儀」のほうが「フォーマルな改まった文章・場面」で使われる違いがあります。
「私事」は「口語的・話し言葉的な言葉」ですが、「私儀」は「文語的・書き言葉的な言葉」になります。
また同じ公共性の乏しい個人的な事柄であっても、冠婚葬祭や重大な事柄、フォーマルなやり取りについては「私事」よりも「私儀」のほうが適切な謙遜の語感がある違いも指摘できます。
「私事」と「私儀」の使い方の違い
「私事」と「私儀」の分かりやすい使い方の違いは、「私事」は「口語の話し言葉」として使われやすく、「私儀」のほうは「文語の書き言葉」として使われるということです。
「私事」は「相対的に小さな個人の物事・用事・都合」について使われることが多く、「私儀」は「相対的に大きな個人の物事・冠婚葬祭などの用事・都合」について使われることが多い使い方の違いもあります。
「私事」は「私事ですが・私事になりますが・私事で申し訳ありませんが・私事で恐縮ですが」などの用法で使われやすいですが、「私儀」のほうは「私儀、~」という用法で「私儀」だけで独立して使われます。
「私事」と「私儀」の英語表記の違い
「私事」と「私儀」は英語では区別されないので、英語の表現は同じになります。
“a private affair”(プライベートなこと・私生活に関すること・私事・私儀) “a personal matter”(個人的なこと・私に関すること・私事・私儀) “Excuse me for mentioning something private(personal),”(私事で申し訳ございませんが~) ただし「私儀」を「私について言えば・私としては」の意味で解釈すると、英語で以下のように表記できます。
“as for me”(私については・私個人としては・私はといえば・私儀)
「私事」の意味
「私事(わたくしごと)」という言葉は、「私に関すること・私生活のこと・個人的な事柄」を意味しています。
「私事」は「しじ」とも読むことができますが、一般的な読み方は「わたくしごと」になります。
「私事」には、「公ではない・公共性が乏しい・個人的なことの詳細は秘密にしておきたい」といった意味のニュアンスがあります。
「私事」の使い方
「私事」の言葉は「私事ですが、○月○日から有給休暇を取らさせて頂きます」の文章のように、「私個人に間する事柄・個人的な都合や用事」の意味合いで使うという使い方になります。
「私事」という表現は「私事ですが・私事により・私事になりますが・私事で申し訳ございませんが・私事で恐れ入りますが」の用法で、「退職・有給・欠席・異動・結婚・出産」などの個人的な事柄や都合を職場に伝える際に使われます。
「私事」を使った例文
・『私事ですが、4月10日から1週間の間、有給休暇を取得させていただきます。』
・『私事に巻き込む形になってしまい、○○さまには大変なご迷惑をおかけしました。』
・『私事で恐縮ですが、6月1日に結婚いたしましたことをご報告させていただきます。』
・『私事により申し訳ございませんが、次回のミーティングは欠席させていただきます。』
・『私事になりますが、育児休暇を取得することになりましたのでお伝えさせていただきます。』
「私事」の類語
「私事」の類語には、以下のような言葉があります。
「私用」……公ではない私自身の用事、個人的な用事・用件。
公共の用途ではなく、個人的に使用すること。
「私情」……個人的な感情や私自身の情(じょう)。
私的な欲求と関連する感情。
「プライベート」「私生活」……公共性が乏しい私的な事柄。
公にはしたくない(人には秘密にしておきたい)個人的な生活や関わり。
「私事」を使った熟語
「私事」を使った熟語には、以下のような言葉があります。
「私事都合(しじつごう)」……公的ではない個人的な都合・事情・用事。
「私事旅行(しじりょこう)」……出張・交渉など仕事のための移動や宿泊ではない、個人的な旅行。
「私儀」の意味
「私儀(わたくしぎ)」とは、「公ではない私自身のこと・私に関すること・個人的な事柄」を謙遜して表現している言葉です。
「私儀」という言葉は、「冠婚葬祭・退職願などのフォーマルな場面で使われるようなかしこまった感じ」を持っています。
「私儀」の使い方
「私儀」は「私儀、この度代表取締役に就任する運びになりました」のように、「かしこまった感じがある個人的な事柄・私自身に関すること」を意味して使う使い方になります。
「私儀」は「私儀ではありますが」のような言い回しでは使わずに、「私儀、~」という形で文章の冒頭で独立して使われる使い方が多くなっています。
「私儀」は「文語的な表現」なので、原則として「話し言葉(口語)・会話」ではなく「冠婚葬祭などのかしこまった書き言葉・文章」において使われます。
「私儀」を使った例文
・『私儀、9月1日より部署を異動することになりました。』
・『私儀、この度結婚することになりましたのでご報告させていただきます。』
・『私儀、父急逝のため、取り急ぎ葬儀を執り行うことになりました。』
・『私儀、来月に定年退職することになるため、お知らせさせていただきました。』
・『私儀、恐れ入りますが、健康上の理由にて今回の役職は辞退させていただけると幸いです。』
「私儀」の類語
「私儀」の類語には、以下のような言葉があります。
「私事(わたくしごと・しじ)」……公ではない個人的(私的)な事柄。
人に知られたくない(秘密にしておきたい)個人的なこと。
「一身上(いっしんじょう)」……その人自身の理由・事情・境遇などに関連する事柄。
自分自身の身の上に関する理由や事情。
「自己都合(じこつごう)」……公的な理由のない私自身の都合や事情。
「私儀」の対義語
「私儀」の対義語には、以下のような言葉があります。
「公儀(こうぎ)」……公的なこと、公共的な性格を持つ事柄。
公(おおやけ)に関する問題。
「公式(こうしき)」……個人的に(自分勝手に)定めたものではない、公的な形式・やり方・承認。
まとめ
「私事」と「私儀」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「私事」と「私儀」の意味・使い方・英語の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。