「思い悩むこと」を表現するときに、「苦心」か「苦慮」か「腐心」かで迷った経験はないでしょうか?
いずれも似たような言葉に感じますが、どんな違いや使い分けがあるのでしょうか?
この記事では、「苦心」と「苦慮」と「腐心」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「苦心(くしん)」の意味とは?
「苦心」とは、「物事を成し遂げるために考えをめぐらせたり、試行錯誤して苦労すること」を意味する言葉です。
「苦心」を使った例文
・『苦心の末に、何とか試験に合格することができた』
・『苦心に苦心を重ねた結果、彼の事業は見事に成功を収めた』
・『諦めずに苦心する彼の姿が周囲の人々を勇気づけた』
「苦慮(くりょ)」の意味とは?
「苦慮」とは、「あれこれを考慮して悩むこと」や「思い悩むこと」を意味する言葉です。
「慮」という字は「慮(おもんぱか)る」とも書き、「思いをめぐらす」や「考える」という意味を持ち、「苦慮」は文字通り「苦しみながら、思いをめぐらす」ことを表しています。
「苦慮」を使った例文
・『財政にかかわるほどの経済問題に直面し、政府は対応に苦慮した』
・『関係者の不正行為が発覚したことで、責任者は会見での答弁に苦慮していた』
・『長らく解決に苦慮していた問題がようやく落着となったようだ』
「腐心」の意味とは?
「腐心」とは、「あることを成し遂げるために心をくだくこと、心を悩ますこと」を意味する言葉です。
「腐」という字には、「腐る」や「古い」のほか、「心をいためる」という意味も含まれており、「腐心」は文字通り「(問題解決などのために)心を悩ませ、苦しめる」ことを表しています。
「腐心」を使った例文
・『傾いた会社経営の建て直しに腐心する』
・『研究に腐心した末、彼の功績は世界に認められることになった』
・『あの人物は元々タレントだったが、今は世直しを掲げて、政治活動に腐心している』
「苦心」と「苦慮」と「腐心」の違い
「苦心」と「苦慮」と「腐心」はいずれもほとんど同じ意味を持ちますが、「苦慮」が「思い悩むこと」を表しているのに対し、「苦心」と「腐心」は「(問題解決や目的を成し遂げるために)思い悩む」というニュアンスを含み、「努力」という意味合いで用いられることもあります。
また、「苦心」に比べて「腐心」は特に解決に長い時間を要する場合に用いられることが多いです。
一方、「苦心」は「苦心談」(いかに苦心したかを語る話)や「苦心の作」(=力作)のように問題などが解決した後に用いられる場合もあります。
まとめ
・「苦心」とは、「物事を成し遂げるために考えをめぐらせたり、試行錯誤して苦労すること」を意味する言葉です。
・「苦慮」とは、「あれこれを考慮して悩むこと」や「思い悩むこと」を意味する言葉です。
・「腐心」とは、「物事を成し遂げるために心をくだくこと、心を悩ますこと」を意味する言葉です。