この記事では、「甚平」と「浴衣」と「作務衣」の違いを分かりやすく説明します。
「甚平」とは?
元々は、関西地方で作られた男子用の袖なし羽織の一種で、膝を隠す程度の丈の木綿製綿入れ防寒着でした。
現代では、麻や木綿製で、筒袖を付けた夏物の家庭着のことです。
「陣羽折」や「陣兵羽織」が転訛した「甚平羽織」の省略形ですが、現代では「甚平」の表記が一般的です。
「甚平」の例文
・よく混同される「作務衣」は長袖で、通年着用する普段着兼作業服であり、「甚平」は半袖で主に夏に着用する部屋着ですが、衿などの仕立ては同じなので証明写真と同じ範囲の写真を見ただけでは、判別が困難です。
・魚類の中で最大級のテンジクザメ目ジンベエザメ科の魚である「甚平鮫」は、身体の模様または、魚体の形が甚平羽織を着用した姿に似ることからついた和名で、ジンベイザメとジンベエザメの表記揺れがありますが、標準和名は前者です。
「浴衣」とは?
湯帷子の略で、入浴時または入浴後に着用する単衣で、「ゆぐ」「ゆまき」とも呼びます。
主に白地に藍で柄を染めた夏用の木綿製単衣を指すこともあります。
「浴衣」の例文
・和服を着る機会が減り、着付けできない人が増えましたが、旅館に泊まると湯上りや寝間着として浴衣が用意される場合が多いので、着付けを覚えておいて損はありません。
・浴衣を左右均等に羽織り、右の前身頃を左側に持って行き、腰に巻き付けるようにしてから、左前身頃を右腰に巻いて、帯を結びます。
「作務衣」とは
元は禅寺で僧侶が、農作業や掃除などの労働の際に着用する衣服でした。
現代では労働着や普段着として用いられます。
上衣は打合せ式の長い筒袖で、下衣は裾がすぼまった形のズボン型で、通年着用されます。
「作務衣」の例文
・伝統的な手仕事の職人が作務衣を身に纏って作業場に座るだけで様になるものですが、あの貫禄は一朝一夕で身につくものではありません。
・作務衣は、ゆったり着られる楽な形状でありながら、着崩れにくさと動きやすさを両立し、洗濯などの手入れも簡単な為、男性用の普段着などとしても、見直されつつあります。
「甚平」と「浴衣」と「作務衣」の違い
甚平は、かつては綿入れの防寒着でしたが、現代では夏用の半袖として着用されます。
浴衣は、古式サウナ「釜風呂」で入浴中に着る単衣または、湯上りに着る単衣で、現代では夏用の木綿製単衣も指し、男女どちらも着用しますが、男性の場合、基本的におはしょりを作りません。
作務衣は、元は禅寺の僧侶が着用する作業服でしたが、現代では世俗の男性にも広まっています。
まとめ
どれも気軽に着られる和服の一種ですが、普段着に洋服を着る場合が多く、慣れないとは言え、少なくとも死者専用の左前に着ないようにだけは、気を付けたいものです。
女性が夏祭りなどに浴衣を着てゆく際は、腰の辺りで折り返す「おはしょり」が膨らんだり、着崩れで背中側が垂れ下がって裾を引きずらないよう、事前に動画などで着崩れない方法を予習して着ることをお勧めします。